日本を代表する山岳地帯「日本アルプス」は、飛騨山脈(ひださんみゃく・北アルプス)、木曽山脈(きそさんみゃく・中央アルプス)、赤石山脈(あかいしさんみゃく・南アルプス)の総称である。

 今回はその中から、富士山に次ぐ標高を誇る北岳(きただけ・標高3,103m)を最高峰に3,000m級の山々が連なる赤石山脈の北部、「南アルプスの女王」と謳われている仙丈ヶ岳(せんじょうがたけ)への挑戦をレポートする。

■【初日】戸台パークからバスで約1時間、北沢峠へ

 標高3,033mの仙丈ヶ岳は日本百名山の一座に名を連ね、日本で18番目に高い山である。山容は大きく穏やかで、女性的な姿であることが「女王」と謳われる由縁だ。

日本で18番目に高い仙丈ヶ岳の標高は3,033m

 東西南北から登山道が延びている仙丈ヶ岳は、バス利用で日帰りも不可能ではないが、今回は1泊するプランをチョイスし、余裕をもった行程で登頂を目指した。

 初日に目指すのは、標高2,032m地点にある北沢峠(きたざわとうげ)。北沢峠へと続く南アルプススーパー林道は一般車両の通行は禁止されているため、移動にはバスを利用する。

 中央自動車道・伊那ICより車で約40分、戸台パークに車を駐車し、そこからバスを乗り継ぎ、約1時間ほど走ると北沢峠へと到着する。

 北沢峠は電波の届かない秘境で、仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ・標高2,967m)の登山口としてシーズン中は賑わう場所だ。

 北沢峠から徒歩で10分ほどで宿泊地となる長兵衛小屋が見えてくる。北沢沿いにテントサイトが広がり、フラットに整地されている快適なテント場だ。

川沿いに広がるテントサイト。川のせせらぎを聴きながら過ごせる場所だった

 初日の移動は北沢峠までのため、テントを設営した後はしっかり休息をとり、翌日に備えた。バスを利用し、標高2,000mを超える場所まで来たが、目指す頂きは標高3,000m超え。体力を要するタフなルートだ。