■神奈川県・丹沢山脈の最深部「丹沢山」

丹沢山山頂から望む富士山(撮影:山歩ヨウスケ)

 東西に40km、南北に20kmにもおよび、神奈川県の面積の6分の1を占める「丹沢山地(たんざわさんち)」その最高峰は「蛭ヶ岳(ひるがたけ)」だが、百名山として選定されているのは「丹沢山(たんざわさん)」である。

 標高は1,567mで、丹沢山はかつては丹沢中央部に連なる山々の総称だったのだが、測量時に一等三角点が設置された場所に仮称として丹沢山と名付けられた。そのまま現在へと至り、一峰の名となったとされている。

 丹沢山へはどこの登山口から登っても山頂までの距離が長く、時間と体力を要するチャレンジングなコースだ。丹沢山への登山口として有名な大倉登山口からでもコースタイムで5時間以上かかる。

 丹沢山へのアプローチは大倉からがメジャーではあるが、筆者は「表尾根」を利用して登るのをおすすめしたい。菩提峠からスタートし、三ノ塔、塔ノ岳を経由して丹沢山を目指すルートで、行動時間は約9時間となる。

 春になり、日が長くなることで計画できるようになるルートだが、早朝からの行動を心がけたい。

 見どころは稜線に出てからの眺望がいいことだ。菩提峠から三ノ塔までは樹林帯だが、三ノ塔からは稜線歩きとなり、景観を楽しみながら歩ける。

塔ノ岳に向かう道中。富士山を横目に歩く(撮影:山歩ヨウスケ)

 稜線歩きでは日差しが強いため、紫外線対策は必須となる。登山は汗をかくので小まめなケアをしたい。
途中、塔ノ岳を経由するが、塔ノ岳からの景色は絶景で山頂スペースは広く、富士山の景色を楽しみながら昼食を食べるといい。

塔ノ岳山頂。腰掛けられる場所が多く、多くの登山者がここで景色と一緒に食事を楽しむ(撮影:山歩ヨウスケ)

 菩提峠から丹沢山までは約5時間の道のり。距離は約8kmほどだが、終始眺望がいいのでそれほど疲れを感じずに歩くことができる。

 日が長くなる季節は日帰りも可能なコースだが、時間に余裕を持って楽しみたい人は1泊するのもおすすめ。

丹沢山の山頂に建つ「みやま山荘」通年営業の山小屋(要予約)(撮影:山歩ヨウスケ)

 1泊すれば、翌日に丹沢山地の最高峰・蛭ヶ岳に登ってから下山することもできる。丹沢表尾根と主脈線はとにかく眺望を楽しみながら歩きたい人にとってはおすすめのルートである。

【登山ルート】
菩提峠⇒(1時間10分)⇒三ノ塔⇒(2時間20分)⇒塔ノ岳⇒(1時間30分)⇒丹沢山⇒(1時間)⇒塔ノ岳⇒(2時間)⇒三ノ塔⇒(1時間)⇒菩提峠

【アクセス】
東名自動車道・秦野中井ICから県道70号線経由で34分(16.9km)

⚫︎【MAP】菩提峠 神奈川県秦野市寺山