神奈川県の6分の1の面積を占め、都心からのアクセスも良好であることから、年間を通して多くの登山者が訪れる「丹沢山地」。

 特に大山や塔ノ岳など表丹沢は人気で、1年を通じて賑わうエリアだ。今回はそんな表丹沢エリアの穴場的な山を紹介したい。

■ヤビツ峠から塔ノ岳に延びる「表尾根」のピークのひとつ「三ノ塔」

三ノ塔の隣、鳥居山荘から見た三ノ塔(撮影:山歩ヨウスケ)

 三ノ塔(さんのとう)は標高1,205mの山で、ヤビツ峠から塔ノ岳(とうのだけ)まで続く「表尾根」のピークのひとつとなっている。

 紹介するのは菩提峠(ぼだいとうげ)駐車場からニノ塔(にのとう)を経由し、三ノ塔を目指すルートだ。

■冬に三ノ塔をおすすめする理由「小屋の中から富士山鑑賞」

 丹沢は関東南部に位置する山地であり、山梨県や長野県など、2,000m級の山々が集まる地域と比べれば冬でも比較的気温は高い。また雪の少ない環境ではあるが、それでも標高が1,000mを超えるような場所では気温は低くなる。一般的には標高が100m上がると、気温がおおよそ0.5〜1℃下がると言われている。

 さらに風が吹けば体感温度はさらに下がり、景色を楽しむどころではなくなってきてしまうだろう。冬の登山は空気が澄む分、景色が期待できるが、十分な寒さ対策が必要となる。

 三ノ塔の山頂には避難小屋が建っており、中にはテーブルとイスが設置され、休憩をするのにもちょうどいい場所となっている。

三ノ塔山頂の避難小屋の中。とてもきれいで、利用者のマナーの良さが窺える(撮影:山歩ヨウスケ)

 この避難小屋の最大の魅力は窓から富士山の景色を見ることができることだ。寒い冬に、屋内から絶景の富士山を満喫することができる。

三ノ塔の避難小屋の中から望む富士山。風の影響を受けないだけでかなり快適(撮影:山歩ヨウスケ)

 小屋の中で、コーヒーを楽しみながら眺める富士山の景色は至福の時間と言えるだろう。冬でもぬくぬくと景色を楽しめるのは贅沢だ。

 三ノ塔は塔ノ岳へと続く表尾根にあるので、多くのハイカーは通過点として通り過ぎてしまう。そのため人は少なく、ゆっくりとできるのも魅力だ。