時期を問わずキャンプは楽しいものだ。自然豊かな場所に身を置き、非日常を感じながら料理を楽しむ。焚火を囲んで夜を明かす。やっていることは実にシンプルなことだが、筆者はキャンプに魅了されてしまっている。
非日常であるはずのキャンプも回数を重ね、繰り返し行っていると「ルーティン化」されていき、新鮮さや、楽しみを感じにくくなってくる。そんな感覚はないだろうか? 今回はそんな人に向けた「ゆるくないキャンプ」を提案したい。
■標高1,103m、山奥のキャンプ地「三条の湯」
ここで紹介する「三条の湯」は、日本百名山・雲取山(くもとりやま)の中腹にある山小屋・テント場である。標高1,103mに位置し、渓谷にひっそりと建つ山小屋だ。
雲取山は東京都、埼玉県、山梨県の1都2県にまたがる標高2,017mの山で、日本百名山の一座であるほか、東京都最高峰の山としても広く知られている。奥多摩、秩父の山域は登山のシーズンが長く、一年を通して多くのハイカーで賑わう場所だ。
「三条の湯」は雲取山へのアプローチの拠点としても利用されている。ただあまりにも素敵な場所なため、「三条の湯」を目的にする人も少なくない。実際に筆者が訪れた時も、雲取山へは登らずに「三条の湯」で1泊して下山する人がいた。しかも1人ではなかった。
■片倉ゲートから2時間半の林道歩き「簡単には行けないテント場」
「三条の湯」を訪れるためには片道2時間半の山歩きが必要となる。必要な装備をバックパック1つにまとめて背負って歩かないと行けないので「ゆるくないキャンプ」である。
「三条の湯」までの道のりは大半が林道歩きとなる。林道「後山線(うしろやません)」の片倉ゲートから三条の湯まではトータルで約7.1kmの道のりだ。約2時間の林道歩きの後、30分ほど登山道を歩くとようやく目的地に到着する。
時間と体力を要する行程ではあるが、必要な道具全てを背負い、テント場に着いた時の達成感はほかでは味わうことのできない体験になるはずだ。
■後山川沿いに広がるテントサイト
「三条の湯」のテント場は、山小屋から少し下ったところにある。後山川沿いに整地されたサイトが広がる。
登山でのテント場は限られたスペースでテントを設営するため、混雑時には隣との距離が近く圧迫感を感じてしまうこともあるが、「三条の湯」のテントサイトは段々になっているため、圧迫感を感じることなくテントを張ることができる。