■ダイナミック! 迫力の雪下ろし
3階に目をやると、大型トラックがステージの端にギリギリで止まり雪を下ろしていた。
勢いよく雪が下ろされるのを目の当たりにし、興奮する筆者。うっすらと雪煙が立ち、大きな雪塊が坂をゴロゴロと転がっていく迫力に圧倒され、思わずシャッターを切る。
筆者の興奮した姿に井田さんはニヤリとし、3階に行きトラックを間近で見せていただけることになった。
■あと数10cmで崖の下? ギリギリで雪を下ろす大型トラック
何台もの大型トラックが列をなし、休む間もなく雪を下ろしている3階。誘導係の方が「1つ下の2階を目掛けてステージの端で雪を下ろしてください」とトラックの運転手さんに指示を出していた。
筆者を案内しながらも「雪の積載量が少し多めなので(積載量に)気をつけてください!」と、トラックの運転手さんに注意を促す井田さんを頼もしく思いつつも、ふとタイヤの跡に目が止まった。
こんなにステージの端で作業をしていたのか、と目を疑った。しかし、井田さんは「もう少しステージのギリギリに雪を下ろしてもらえると助かるんです。ステージの上から雪を落とす必要がなくなるので、地ならしも楽なんだけどね」と苦笑いをしていた。
この日は午前中だけでも4544立方メートルもの雪が雪堆積場に運び込まれたそうで、少しでも効率をよくしたいのも納得だ。
より寒い真冬では下ろした雪の上に散水し、ショベルカーで地ならしする「転圧」を行う。しかしこの日の気温は0℃と比較的暖かく、散水をすると雪が固まる前にとけてしまうため逆に危険だ。遠くでは散水車が出番を待っていたが、この日は終日待機で終わっただろう。
■地面にできる穴に注意
地面をよく見ると、無数の穴を見つけた。穴からは雪どけ水が勢いよく落ちていく。「ステージの雪がとけて作られた穴で、20m下(雪の下の地面)まで続いています。今年は2月に暖かい日が続いたこともあり、雪どけが進んで雪山はボロボロです。夜になって気温が下がったタイミングで穴に雪を埋めて補修します」と井田さんが教えてくれた。
気温が上がればステージがとけて雪堆積場自体が危険になる。しかし、4月からは少しでも早く暖かくなってほしい。多くの人が訪れるのが待ち遠しい春だが、現場にとっては必ずしもうれしくもないようだ。自然を相手にする仕事の難しさがそこにあった。
■雪国の生活を守っている雪堆積場
全国の天気予報では、地域によって梅や桜の開花情報が流れるが、札幌の街中にはにはまだ雪が残っている。雪堆積場の雪がなくなるのは7月。まだまだ長い期間で雪の対応が必要だが、どうか安全に作業を進めてほしい。井田さんをはじめ、街中の雪から生活を守ってくれる雪堆積場で働く方々に感謝しつつ取材を終えた。
●上篠路地区雪堆積場(丸彦渡辺・丸二森建 特定共同企業体)
・〒002-8052 北海道札幌市北区篠路町上篠路356
・URL https://www.maruhiko.co.jp/
・雪堆積場のライブ配信 https://www.youtube.com/watch?v=jUxaN8zyLPw
※雪堆積場のライブ配信は12/1〜3/31の限定配信のため、4/1〜11/30は見られません