■本当に全部雪? 地面のように押し固められた道に驚愕!

雪堆積場の入り口はまるで工事現場

 札幌市には全部で約80か所の雪堆積場があり、そのうち誰でも使える雪堆積場は約30か所ある。今回はその一つ、上篠路(かみしのろ)地区雪堆積場の取材許可を特別にいただいた。多くの重機が行き交い、まるで工事現場のように危険を伴う場所であるため、アポなしでの立ち入りは厳禁だ。

 上篠路地区雪堆積場は丸彦渡辺建設株式会社の所有地で、広さは11.1万平方メートル。札幌市でも最大クラスで、札幌ドームを超える広さを誇る。受け入れ時期は12月1日から3月末日までで、休業日以外は24時間体制となっている。

トラックが行き交う雪堆積場

 入り口を過ぎるとすぐに目に入るのは、高さ20mにも及ぶ巨大な雪山。3月に入り最盛期を過ぎたにも関わらず、この日は9時〜12時の時間帯で、雪満載のトラックが458台も往来していた。排雪の最盛期は1時間に300台もの大型トラックが入ってくるという。

 「夏のように雪のない季節は平地ですが、12月になり排雪が始まるとその雪で山を作ります」と話してくださったのは井田さん。「もうずいぶんとけましたが、この道も固めた雪なんですよ」筆者が土の地面だと思って歩いた道は、雪を固めて作った雪山だった。

シーズン初めには奥の鉄塔中央に向かって傾斜をつけるように雪山を作っていく
滑り止めに石が撒かれ、まるで土の道路のようだ

■ショベルカーが落ちそう! 思わずヒヤヒヤするような脅威の操縦テクニック

 大型トラックが進む斜面を上ると見晴らしのよい広場に出た。「排雪で作った広場をステージと言います。ここは2階ですね」と説明してくれた2階部分の高さは20m。3階は更に10m高い場所にも関わらず、タイヤショベルが絶壁で地ならしをしていた。

 あともう少し前に出たら落ちてしまうのではないか? と、見ている方がヒヤヒヤするような場所で器用に動き回る操縦テクニックに「おぉぉぉぉぉ!!!」と声を出して感動する筆者。下からショベルを見上げることはほとんどなく、貴重な経験だ。

落ちるのではないか? と思うほどギリギリの場所をダイナミックに動くタイヤショベル
少しでも前に出たら落ちてしまいそうな絶妙なバランス

 雪が多い年は4階、5階と作られることもある。5階にもなると高さは50mだ。「3/31までは目一杯雪を積み上げ、4/1から7月末でとかします」と井田さん。暖かい時期に自然にとけるのを待つのではなく、人為的に融雪しないと次のシーズン開始に間に合わないそうだ。

 そう話す先では、重機が横切り大型トラックが高さ10mの断崖絶壁で雪を下ろし、タイヤショベルが地ならしをしていた。せっせと排雪し雪山を大きくしている傍で雪をとかす話を聞いているのが不思議で興味深かった。

話を伺っている間も排雪作業は休む間もなく続いていた
ショベルカーと比べると、雪山の高さがよくわかる