スノーボードのスタンスや角度の決め方は「あなたの滑りのスタイルでは大体このぐらい」という曖昧な値をもとに、個人の感覚で調整している人がほとんどでしょう。また、ボード自体の推奨スタンスでセッティングすることもしばしば。しかし、最近では体の動きを計測して決めることができるとSNS上で賑わっています。それが「STANCER(スタンサー)」です。話題の「スタンサー」が、どんな役割をしてくれるのか整理してみましょう。
■スタンサーはスタンスを測る機械?
多くの方が勘違いしているのですが、実は「スタンサー」はスタンスだけを測る道具ではありません。最も力を発揮しやすいポジションがわかる道具なのです。
スノーボードは1枚のボードに両足を固定して、バランスをとりながら雪の上を滑走するスポーツです。「スタンサー」は立位で股関節の動き(回旋可動範囲)を測定することで、人それぞれの身体の特徴を導き出すことができます。算出された値を基準に、スノーボード上での向き、角度、そしてスタンスの推奨値をライディングスタイルに合わせて、3通り伝えてくれます。自身の特徴にあった立ち位置でセッティングすると、ボード上で無理なく体を動かすことにつながり、より安全に上達することにつながるのです。
ビギナーの方の場合、レギュラーかグーフィーかを決めたり、最適なスタンス幅、角度がわかるので力を発揮しやすく、上達への近道ともいえます。自身の体に合わせたセッティングで始められるので安心感がありますね。
また、股関節の可動域やバランスによって可動域タイプが割り当てられます。「ギャップ」「ユニバーサル」「マルチ」「ゴッド」などと。偏りが強いと「ギャップ」でSNS上ではゴミスタンスと言う人も。可動域がまんべんなく広いと「ゴッド」と言われ、一部のスタンサーユーザーから憧れの存在です。
私が測定したところ、今回は「ユニバーサル」でした。「可動域タイプ」は血液型分類のようなノリで、測定の結果にコメントされます。一番普遍的でどっちつかずのタイプ、と言われると「なんか私っておもしろみがないな」と思ってしまうのは、関西人の血でしょうか……。占いが好きなので、実はこのコメントも楽しみのひとつです。
■スタンサーが流行ったのはYouTubeのおかげ!?
スタンサーのリリースは2011年ですが、知名度が上がったのは2019年。スノーボード系YouTuberの発信をきっかけに一気に知名度が上がりました。私自身もYouTubeチャンネル「P-can .FACTORY」でスノーボーダーの谷口尊人さんが発信していたことに興味を持ち、直接会いに行って計測し解説していただきました。当時アップしたYouTubeはチャンネル登録者数が500人ほどの私のチャンネルでも1万回以上再生されるぐらい注目を集めていたのです。
スタンサーを開発しているSLABは、トッププロスノーボーダーである角野友基さんをサポートしています。彼のパフォーマンス拡大のために研究をくり返し、進化していったけれど広くは認知されていませんでした。しかし、YouTubeの配信をきっかけに知名度は上がったことでスタンサーの利用者が増え、現在では100万人のデータをもとに、毎年バージョンアップされています。