■100年以上の歴史をもつレンガ建築の「弘前れんが倉庫美術館」
洋館とはまた少し違うが、レンガ建築による建物が見応えのある「弘前れんが倉庫美術館」も弘前市の街歩きスポットに入れておきたい。現在は美術館となっているこの建物は、もともと明治後期に酒造所の工場や倉庫として建設されたもの。100年以上の歴史をもつ近代産業遺産といえるのだ。
酒造工場の役割を終えたのちは、政府の米保管倉庫として使われ、2020年にリノベーションされて美術館として生まれ変わった。美術館の入り口のレンガをアーチ状に積み上げたデザインは、「弘前積みレンガ工法」と呼ばれるもの。アートの鑑賞も楽しいが、レンガ建築の建物自体も見どころがたくさんある。
■津軽のおいしさが詰まった「虹のマート」
「虹のマート」は弘前駅から歩いて5分ほどの場所にある市場。鮮魚や精肉、野菜、乾物、さらには花屋までありとあらゆるお店が20店舗以上も集まり、地元民からは「弘前の台所」とも称されている。
地元に密着した市場なので、すじこや、イカを揚げたイカメンチ、身欠けにしんの醤油漬けなど、「津軽といえばコレ」といった品がとにかく充実。特に鮮魚は価格が手ごろで自分用のお土産にあれこれ買いたくなる。観光客らしき人の姿もちらほら見かけるが、買い物客はほぼ地元民。「乾物もおすすめ」と聞いたので行ってみると、半生のやわらかい乾物などもあり、イカやタラなどを購入。
館内には飲食できるブースもあり、市場内で購入した総菜などをここで食べたり飲んだりできる。例えば、マグロの刺身、イカメンチ、おにぎりなどの総菜を買って、特産品から家庭的な料理まで市場内で味わう、なんてことが可能なのだ。
■夜は居酒屋で郷土料理を満喫
夜は市街地へ繰り出し、郷土料理が豊富だという居酒屋に向かう。津軽海峡産の鮮魚をふんだんに使った刺身盛りをはじめ、ほたて貝焼みそ、特大のシマホッケのひらき干し、すじこのおにぎり、十三湖産のしじみのみそ汁など、「食べてけろ!」と言われるメニューを次々と注文。
青森名産のほたては、フライや天ぷら、グラタンとさまざまな料理で味わえ、イカ料理もみそ炒め、醤油焼きなどが選べる。身欠きにしんの大根漬けなど、漬け物にいたるまで海の幸がふんだんに使われていて、弘前をはじめとする青森県は海産物が豊富なのだなとつくづく実感。お酒も地元のシードルをいただくなど、土地の味覚をたっぷりと味わった。
昼から夜までじっくり街をめぐると、弘前市のさまざまな魅力に触れることができる。弘前城やレトロ洋館、生活感を感じる市場や地元の郷土料理など、歴史や伝統・文化、そしておいしさまで、濃厚な旅に大満足だ。
●【MAP】弘前城