パウダー、グルーミング、地形と規制なく自由に滑るなら八方尾根の右に出るスキー場はない。滑るエリアを限定せず、自分たちのカッコよさを追求する川合太陽、雄大兄弟が、八方尾根を縦横無尽に滑った記録をどうぞ。
左) 川合太陽(Taiyo Kawai)
2002年生まれ。スロープスタイル競技を経て、現在は弟の雄大とともに映像などでスキーを表現。国外での評価が高い
右) 川合雄大(Yudai Kawai)
2005年生まれ。フリーライドジュニアワールドチャンピオンシップにも出場経験あり。グラフィティアートも手掛ける
■スキー場のスケール、ロケーションに圧倒される
●「景色もいいし、地形もいい最高じゃないですか」
白馬バレーのなかでちょうど真ん中に位置する八方尾根。トップから末広がりに尾根が延びるコースはバリエーションに富んでおり、滑りごたえ抜群。中・急斜面が途切れることなく、1,000m以上ある大きな標高差が特徴。さらにコブ斜面やパウダー、豊かな地形変化など、フリーライディングにはもってこいの条件が揃っている。
そんな八方尾根を滑るのが川合太陽、雄大の兄弟。2人は主に白馬の別のスキー場を滑っているため、八方をちゃんと滑る機会がなかったという。ジャンルの垣根を作らず、そこにある地形やアイテムを使って淀みないライディングが持ち味の彼らは、八方尾根をどう滑ったのか。
まずは定番の「リーゼンスラローム」コースへ。平均斜度は20度だが、速度をキープしながら、3,000m近い距離を滑り続けられるのはそうない。そのまま山頂へと登り返し「裏黒」へ。ここは黒菱第3ペアリフトの北斜面にあるオフピステエリア。軽い雪が溜まる場所だが、撮影時は風に叩かれボコボコ。だが、2人はその状況を楽しむべく起伏をきっかけにジャンプを入れながら降りていく。
裏黒下部で「スカイライン」に合流。ボウル状の地形のここは、グルーミングされた沢コースのボトムやスキーヤーズレフトのバンク、コースを縫って走る林道など遊べるポイントが多い。2人は落ち込みを使ってスイッチからの小技を挟み、大きなジャンプを入れながらラインを繋いでいく。
スカイラインを数本回して北尾根エリアにある「HAPPO PARKS」へ向かった。このパークはバンクやウェーブといった地形要素にキッカーなどをミックスしたサーフライドなパーク。コースのトップからボトムまでを、自由なラインが楽しめる。
「ジブアイテムのないパークって新鮮。擦れる雪の地形があるし、キッカーもどこからでも入れて、どこにでも着地できて面白い。パークって感覚よりもなんて言ったらいいんですかね……(太陽)」「遊び場って感じですね。アイテムを滑る順番も上から自由に選べるし、ターンも一緒に楽しめるから普段のパークよりもスピード感が出て面白いですね(雄大)」
山全体をフリーライディングする川合兄弟にとって、八方のスケールは遊びの幅をさらに広げるスキー場のようだ。