「同じ場所ばかり滑っていると飽きないの」と、言われることがあるかもしれない。滑っている側からすれば、場所は同じでも条件は毎日変わるから、飽きる理由がないのだ。滑るほどにスキー場の状況が手に取るようにわかり、精度の高い積雪予測や溜まっている場所の目星がつけられるホームマウンテン。ひとつのスキー場やBCエリアを知れば、その場所の魅力に気づくのは間違いない。ここからはホームマウンテンにまつわる様々な話をお届けしよう。
■野沢温泉スキー場・長野県
村井 諄弘(Tomohiro Murai)
アルマダスキーのアドバイザリースタッフとライダーを兼任。野沢温泉村のスキーショップ「コンパスハウス」の店長の傍ら、日々新しいスキーの楽しみ方を模索
●こんなスキー場
熱々の温泉とスキーを対で楽しむ野沢温泉スキー場。12月からゴールデンウィークまでシーズンが長く、ハイシーズン中は毎日数10センチが降り続き、毎日リセットが続きます。トップからボトムまでの滑走距離が長く、それでいて、高速滑走できる急斜面が多いのが特徴です。とくに春シーズンが面白いのですが、山頂部にあるやまびこの沢は起伏があり地形をなぞって滑るだけでも最高です。2021シーズンから新設された長坂ゴンドラによって、山頂へのアクセスがしやすくなったのも見逃せないポイントでしょう。
●ココがオススメ
尾根伝いのトップトゥボトムが気持ちいい「スカイライン」。晴れた日の絶景が最高です。雪が降らなかった日は朝一のグルーミングも気持ちい。降った日は、尾根から落とせる「グランプリ」や「チャンピオン」といった急斜面へドロップインしましょう。積雪が安定してくると、急斜面の多いスキー場下部が熱い。日影エリアへ落とす「牛頸(うしくび)」は、高速ロングパウダーランがオススメ。ジャンプポイントもあります。
■白馬バレー
舎川 朋弘(Tomohiro Tonegawa)
白馬エリアにおけるバックカントリーシーンに欠かせない人物の1人。白馬全域のフィールドを開拓するパイオニア。ガイドクラブ、カラースポーツクラブの代表
●こんなスキー場
特定のスキー場ではなく、南北に10のスキー場が点在する白馬バレーという視点からこのエリアを楽しみ尽くします。このエリアは、あらゆる方角からの降雪を拾い、日々より良いコンディションを求めることができます。ロケーションも低山から標高を上げた高山帯までバリエーションに富んでいることも魅力。さらには、風をかわす数多くのポイントが存在するため、常にどこかはより良いコンディションに恵まれます。滑走ポテンシャルの高さがこのフィールドの最大の特徴です。
●ココがオススメ
どのスキー場もそれぞれに個性があって面白いので、ここではリフト1本で楽しめるコースを選びました。八方尾根はゴンドラを利用すれば、状況によっていくつもの選択肢が得られます。白馬乗鞍ならアルプス第3リフトを使うと非圧雪コースが何本も楽しめます。コルチナは上部に接続できる第4リフト。大雪が降った日は白馬中のパウダー愛好者が集まっているんじゃないかと思うほどの賑わい。それでもエリアが広いので深雪を存分に楽しめます。
■レベルストーク マウンテン リゾート・カナダ/BC州
佐々木悠(Yu Sasaki)
札幌市出身。単身カナダ・ウィスラーに渡り、ビッグマウンテンフリーライドスキーに開眼。YouTubeチャンネル「FreerideAdventure」もチェック
●こんなスキー場
カナダ内陸部に位置し、北米フリーライドの中心地とも言われるレベルストーク。標高差1,713mは北米随一を誇り、たった3基のゴンドラとリフトだけで、急斜面の長く滑れるコースを効率よくレイアウトしています。各コースは自然地形が豊かで、まるでバックカントリーのようなコース条件。そうした環境にサミー(カールソン)をはじめ多くのスキーヤーがホームにしています。空港からスキー場までのアクセスが悪いのが玉にきずですが、シーズンインから地形とパウダー天国が味わえ、ハイシーズンは無限に滑れるツリーランがアツい。ストークリフト1本乗れば、トップトゥボトムで楽しめます。フリーライド文化を体感するならぜひ。
●ココがオススメ
ゴンドラ下のピローライン「キルザバンカー」。足がちぎれるほど疲れるので、スキー筋を鍛えたりするトレーニングにもってこいです。クリフラインからツリーランまでのロングランが楽しめる「ノースボール」もオススメ。「アッパーノースボール」はクリフだらけ。でも、自分のスキルやレベルにあったサイズが必ず見つけれます。
【「BRAVO SKI 2023 vol.2」より再編集】