「同じ場所ばかり滑っていると飽きないの」と、言われることがあるかもしれない。滑っている側からすれば、場所は同じでも条件は毎日変わるから、飽きる理由がないのだ。滑るほどにスキー場の状況が手に取るようにわかり、精度の高い積雪予測や溜まっている場所の目星がつけられるホームマウンテン。ひとつのスキー場やBCエリアを知れば、その場所の魅力に気づくのは間違いない。ここからはホームマウンテンにまつわる様々な話をお届けしよう。
■山形蔵王スキー場・山形県
丹野幹也(Mikiya Tanno)
スキーショップTRUNKBASEを立ち上げ、現在は山形県内で2店舗を展開。現在はフリースタイルをベースにパウダーやバックカントリーでの撮影に精を出している
●こんなスキー場
山形県内でもシーズンインが早く、シーズン最初の足慣らしにちょうどいい場所です。ハイシーズンはドライな雪が積もりパウダーが楽しめ、樹氷の景観も素晴らしい。ロープウェイが3基、ケーブル1基、リフトは32基で構成するスキー場はとても広くロングランが楽しめます。もちろん、コースのバリエーションの豊富さは言うまでもありません。樹氷観光や温泉街のアフタースキーなど、スキーがあまり得意じゃない人も楽しめるので、レベルや指向性が少しくらいバラバラなグループで来ても、誰もが満足できるスキー場ではないでしょうか。
ザンゲ坂はコース前半の狭くて斜度のある箇所さえクリアできれば、樹氷を見ながらスキーができるのでオススメです。
●ココがオススメ
スキー場一番の急斜面38度の「横倉の壁」は、一度は滑ってほしいコース。圧雪車が入れないほどの斜度なので、降雪時にはパウダー間違いなしです。横幅が広い一枚バーンの「百万人ゲレンデ」は景色も良くて、ロングターンでクルージングするのがオススメ。パウダー派なら「横倉の壁」「大森ゲレンデ」「黒姫ゲレンデ」が鉄板ルーティーンです。
■星野リゾート ネコマ マウンテン・福島県
中島力(Riki Nakajima)
ガイドカンパニー「RIKI JAPOW GUIDE」代表。北海道トマムをベースに、シーズン中は全国各地を行脚。ガイド業のほか、ライダー業やイベントのMCなど、活動内容は多岐にわたる
●こんなスキー場
磐梯山と猪苗代湖というロケーションを一望できるネコマ マウンテンの南エリア(旧アルツ磐梯)。その北側に位置している北エリアが旧猫魔スキー場。今シーズンより両スキー場がリフトで連結されたことでさらに行き来しやすくなり、全く雰囲気の違う山を滑れます。午前中は新雪を滑り、午後からはレベルにあわせたパークを攻めるといった滑り方も自由自在です。南北エリアに特徴あるコースがいくつもありますが、時間があるなら全コース制覇がオススメ。一つひとつのコースは長過ぎないので、移動しながら雪質やコースの変化を楽しみながら、全33コースを滑り切りましょう。
●ココがオススメ
南エリアは、スキー場の一番奥にある「フローズン3」がお気に入り。スキー場のベースから最も離れているため、人も少なく景色もいいので気分よく滑れます。長いコースにアイテムが並ぶ「流せるパーク」は滑りながら当て込めます。北エリアは「デビル2」、斜面が程よく荒れた頃を狙って攻めるのが面白め。外せないのは「デビル3」のパーク。レベルを問わずクォリティの高いアイテムが揃っていて、リフトから見ているだけでも楽しいですよ。
■かぐらスキー場・新潟県
峯岸健一(Kenichi Minegishi)
バックカントリーガイドKinTouN代表。関東近郊の山々をガイディングしながら、北海道や東北の山々も案内。オフは源流から海までの自然体験ツアーを開催
●こんなスキー場
首都圏スキーヤーにとって思い立ったらすぐに行けるパウダーの聖地かぐら。ここは標高差があるので、コンディションにあわせて滑る場所を選べます。降雪量も多いため、シーズンも長く、ゴールデンウィークを過ぎても滑れるのは関東近郊はココだけでしょう。とくに、シーズンインからパウダーが狙えるので、コアなスキーヤーが足慣らしに訪れて刺激を受けます。ハイシーズンはフレッシュパウダーの遭遇率が高いので、広いスキー場の利点を生かして各コースでパウダーランが楽しめます。なによりも主要都市から2~3時間程度で景色の素晴らしい山容が眺められる場所なのが最大の魅力です。
●ココがオススメ
エントリーからライト層は田代ロープウェイからゲレンデに入り、みつまたゲレンデまで滑って、田代ゲレンデに帰ってくるヨーロッパアルプス的なリゾート満喫プラン。片道1時間半以上かかるし、途中のカフェでお茶したりできるから、1日たっぷり楽しめます。上級者は言わずもがな、第5ロマンスリフトを利用して、パウダーを滑りまくり。コース内のパウダーを味わったら、装備を持ってバックカントリーゲートから出て、広大なエリアを楽しんでいただきたい。ガイドしますよ!
【「BRAVO SKI 2023 vol.2」より再編集】