■知っているようで知らないマナー ③「長蛇の列で登らない」

団体での登山はすれ違いに注意する(撮影:川内 勇貴)

 人の多い山で団体登山をしているのを見かける。団体で登るのは問題ないが、すれ違い際に団体が通り過ぎるのを待っていると、長蛇の列でしばらく身動きが取れないということがある。待っている間に体が冷えてしまったり、下山までの予定時間が狂ってしまったりする原因になる。

 団体で登山する場合はあらかじめ団体を区切り、先頭の登山者がすれ違う相手がいることを後方の登山仲間にも伝え、先に少数の登山者を通す配慮を行いたい。また、すれ違う側も団体に声かけし、先に通してもらうように話合うことも重要だ。

■知っているようで知らないマナー ④「宿泊で夜遅くまで宴会をしない」

登山でのテント場は隙間がないので、音に十分注意する(撮影:川内 勇貴)

 テント場の宿泊で実際に起こった事例だが、筆者のとなりに宿泊していた中年の男性3名が宴会を始めた。時間が経つに連れて声が大きくなり、20時ごろに他の登山者に声を落とすように注意され、しばらくは静かになったが、時間が経つと再び大きな声での話し声や笑い声で何度か注意され、21時過ぎまで宴会が続いた。

 テントは生地一枚で隔てられているだけで、外からの音は小さな音でも聞こえるほどである。しかも山の中であれば車や飛行機などの人工的な音もしないため、話し声はテント場に響き渡る。

 開放的になる気持ちはわかるが、登山では早朝から行動する登山者も多いため、静かにするのはマナーとして心得ておきたい。

■知らないでは済まされないこともある

 登山は自然を楽しめる最高のアクティビティだ。その中で、誰もが気持ちよく過ごすためにも、マナーには気を付けたい。 また自然に人工物を持ち込んでしまうと、持ち込んだものが土に還らないことで山頂からの水の流れが変化して登山道が崩れたり、山の生態系が破壊され入山できなくなることもありうる。

 山の静かさを楽しんだり、登山者同士で譲り合いの精神を持ったりすることで、よりよい登山を楽しめるのではないだろうか。長く登山を楽しめるようにマナーを知り、周りから迷惑と感じられないようにしたい。