冬山には欠かせない暖を取るための装備や防寒アイテム。「まだ暖かいから大丈夫」「軽量化のため」と持っていくことを怠り、冬山で凍えた経験が多くの人にもあるのではないだろうか。

 今回は筆者が冬山で装備を忘れて凍えてしまった体験と、持って行かずに後悔した「必須アイテム」5選をご紹介する。

■持っていかずに後悔! 必須の冬山アイテム5選!

●ダウンジャケット

頂上は寒いのでダウンジャケットを着て過ごす

 最も忘れてはならない冬山アイテムがダウンジャケットだ。休憩や野営時、夜明け前の行動など、冬山では随所で防寒着が必要になる。ダウンジャケットがもたらす温もりに救われたことは何度もあり、これがなくては登山中止すら脳裏をよぎる。

 そんなダウンジャケットを筆者は過去に数回、忘れたことがある。

 忘れたのは冬の低山での野営時。持ってきていないことに気がついた時にはすでに登山口へ到着してしまっていた。日が暮れて寒くなる前に眠りにつきたいとペースを上げて野営地に向かい、太陽が沈む前に沢の野営地で焚火の火熾しを済ませて夕飯を食べ、寝袋に潜り込んだ。もしダウンがあったなら野営地まで汗冷え対策をしながらゆっくり行動し、日が沈んでものんびりと野営地で過ごしていただろう。

 朝は寒すぎて日が十分に出てからの行動開始となった。ダウンジャケット1枚を忘れたことで、計画変更が必要な状況になることを実感した山行であった。

●冬用グローブ

雪山では日数に応じて複数所持を

 冬山で必要なのはダウンジャケットだけではない。手の指先を温める冬用グローブは、ダウンジャケットに匹敵するマストアイテムだと思う。

 雪や冬山特有の強風から守ってくれるシェルの役割と、保温の役割を備える冬用グローブを忘れると、登る山によっては凍傷になったり、下山を余儀なくされるといった事態になる。

 筆者が忘れて後悔したのは、雪山でのこと。移動時に着用していたフリース素材の手袋しかなく、ショックのあまり茫然自失。バックパックに常備している3シーズン用の革手袋と合わせて入山することにしたが、手先が発汗して手袋が濡れないようにペースを落として歩くことになった。

 また冬山登山時のグローブは種類にもよるが、日数に応じた準備が必要だ。雪や雨を防ぐアウターはもちろん、保温の役割を果たすインナーは汗で湿ることもあるので、2日間の山行ならアウターとインナーのグローブを1つずつ追加することをおすすめする。それ以上の日程の場合は、現地で乾燥させることが出来るかどうかで変わってくるので、天候やパッキングできる容量を見極めて追加しよう。

●冬用寝袋

これがないと寒くて眠れません

 冬用の暖かい寝袋は、夏用寝袋と比較してボリュームがあり重量もある。軽量化のためにあえて夏に使う寝袋を持ち込んだことがあったが、これが見事なまでに失敗した。

 この日は燕岳で野営し、外の気温はマイナス5℃。ダウンジャケットを着込んでも寒さは変わらず、ケトルで沸かしたお湯をボトルに入れて抱き、なんとか眠りについた。

 しかし、あまりの寒さに何度も目が覚め、朝が来るのを地球上の誰よりも待ち望む夜を過ごした。筆者が持っている冬用寝袋の「快適温度」はマイナス3℃で、「使用可能温度」はマイナス10℃。持ってきていれば快適に眠れたことだろう。

 この失敗以降、冬用寝袋の重要性を認識し、冬山に行く際には必ず持っていくようにしている。