「八ヶ岳ブルー」という言葉がある。最近筆者も聞くようになったが、八ヶ岳ブルーは長野県から山梨県にまたがる八ヶ岳の、冬に見られる濃紺の空のことを指す。
夏の八ヶ岳はたくさんの登山者が訪れていて、とても賑わっていたが、秋になり冬が訪れた頃の八ヶ岳は、しんと静まり返っていて近寄りがたいような、夏とは違う魅力があるように感じる。
筆者は冬の八ヶ岳に10年以上通っている。赤岳、天狗岳、硫黄岳、北横岳、山小屋泊とテント泊をしながら真冬の八ヶ岳を眺めてきた。
その中でも筆者が一番美しいと感じる濃紺の「八ヶ岳ブルー」は、北八ヶ岳にある「しらびそ小屋」付近の空だ。宇宙をそのまま覗いて見ているような、深い濃紺色をしている。稜線から遠い山小屋だが通年利用でき、登山者にとってありがたい存在だ。
冬場でも日帰り登山が可能な、しらびそ小屋周辺の「八ヶ岳ブルー」の魅力を紹介する。
■宇宙のような「八ヶ岳ブル-」を体感! 通年営業のしらびそ小屋へのルート
北八ヶ岳東部、標高2,097mの森の中に位置するしらびそ小屋へは、JR小海線の松原駅からバスが出ているが、冬季は運休するためマイカーのみとなる。マイカーの場合も国道299号線メルヘン街道麦草峠は冬季閉鎖しているため、必ず松原湖から稲子湯入口へ向かうこと。
中央道「須玉IC」を下りたら清里方面へ。野辺山高原を過ぎ、松原湖を左折してメルヘン街道方面に進む。スキー場が見えてきたら、左側に稲子湯の看板があるので左折。しばらく細い道を進むと右側に「みどり池入口」という十数台駐車可能な無料駐車場があるので、そこに車を停めて入山する。
なお、頂上が白くなるとふもとの道路も凍結するので、スタッドレスタイヤを必ず装着しよう。
みどり池入口の登山口からはコマドリ沢の左岸を歩き、徐々に標高を上げていく。登山道にはしっかりとトレースがついており、天気が良ければ迷うことなくしらびそ小屋まで辿り着けるだろう。
コマドリ沢の水源を過ぎると道は少し急になるが、そう長くは続かずなだらかな道になり、やがてしらびそ小屋に到着する。
登山口から2時間くらいの危険の少ない山道だ。このあたりから見上げると、なんとも美しい宇宙のような濃紺「八ヶ岳ブルー」に会える。