雪山の装備を一式揃え、アイゼンやピッケルの使い方もマスター。天候やルートファインディングなどの知識も十分。そんな方におすすめしたいのが、長野県下伊那郡阿智村の「大川入山(おおかわいりやま)」だ。

■冬季アクセスが良好で、温泉も楽しめる「大川入山」

中央道から恵那山方面を眺める。いい天気の予感

 標高1,908mの「大川入山」は、中央アルプスの南のはずれにある「阿智セブンサミット」のなかの1座。中央道・園原インターから登山口まで広い2車線道路のため、雪道でも快適にアクセスできる。おまけに下山後には、昼神温泉「湯ったり〜な昼神」や「信州平谷温泉 ひまわりの湯」など良質な温泉が楽しめる。

 筆者が10年間、特に冬にこの山に登る理由は太平洋側にあり晴天率が高いため。ただし、季節は冬。天候の急な悪化により強い西風が吹くことも。事前に天気図を読み、晴天の見込みを立てたり、風や雪をガードするウェアの準備を忘れずに。日帰りで登れるといって雪山をなめてはいけない。

■樹氷、パウダースノーが出迎えてくれる大川入山の登山

大川入山の登山道で暖かい日差しを浴びる

 筆者が訪れたのは、2021年1月30日。絶好の晴天だったが、2日前までは雪が降り前日は強い冬型の気圧配置、当日は回復傾向のため北海道、東北、本州の日本海側はまだ大雪だが、中央アルプスより南は晴天の兆候だった。これらの気象条件を総合的に判断し、太平洋岸に近い大川入山へ入山した。

 現地は晴れていたが、強い北西風。山の形がピラミッドのようにとがっており、山頂付近とその北西にはもっと強い北西風が吹き、たくさんの雪が積もっているはずだ。

 筆者は毎回南側の治部坂峠(じぶさかとうげ)から登るため、雪はあっても強風に当たることは少ない。

大川入山稜線の美しい樹氷

 稜線に登ると暖かさで雪は溶け出していた。しばらく進むと、山頂が近づいてくる。樹氷が美しく、雪もやわらかいパウダースノーでキュツキュツと鳴っている。

天気のよい山頂手前。体力に不安があれば断念するのも選択肢の一つ

 山頂までは稜線から一度下り、登り返すことになる。体力に不安があったり、天候が悪くなる兆しがあればためらわず戻ろう。

 この日は体力も十分、天気も悪化の兆しもないため登ることにした。