今年(2023年)の秋は、全国的に過去最悪のペースでクマ被害が急増中だ。クマのエサとなる木の実が凶作のため、空腹のクマが里に下りてきたことが要因の一つと考えられている。

 筆者の住む秋田県は元々ツキノワグマが多い地域だが、今年はとくに被害が多発しており、人身被害件数61件69名で、全国1位となっている(11月14日現在)。

 筆者自身、今のところクマと遭遇していないが、知人からクマとの遭遇体験や被害について聞くことが増えた。本記事では、知人の体験談を3つ紹介したい。

■体験談1. 山のふもとにある公園で獣(おそらくクマ)のうなり声

知人がクマと思われるうなり声を聞いた公園
うなり声が聞こえた公園のベンチはクマに壊され、生々しい爪痕が残っている

 筆者の知人は、山のふもとにある公園に行ったとき、獣のうなり声を聞いたそうだ。そこは、普段からたびたびクマが目撃される場所。知人は「クマの声かもしれない」と思ってすぐに車へ戻ったため、遭遇せずにすんだ。

 クマは本来、臆病な生き物で、人の接近に気づくと唸り声を出して威嚇する。これを無視して近づけば襲われる可能性もあるため、騒がずに建物内や車内など少しでも安全な場所に避難しよう。

 またクマ鈴やラジオを携行し、人間の存在をアピールしながら行動すると、クマの方が先に逃げてくれる可能性が高まる。

■体験談2. 夜の運転でクマと衝突

クマ注意の看板

 別の知人は、仕事帰りに夜道を車で走行中、飛び出してきたクマを避けきれずに衝突してしまったそうだ。知人の車はバンパーが破損し、クマは道端でうずくまっていたという。クマが出たのは、里山の近くではあるが、幹線道路や住宅地にも近い場所だ。

 車の修理に保険を使おうにも、クマと衝突したことを証明するのは難しい。そこで、ドライブレコーダーの映像を警察と保険会社に証拠として提出したそうだ。

 野生動物は突然道路に飛び出すことがある。とくにツキノワグマは黒いので、夜道では気づきにくい。万が一のため、車にドライブレコーダーを付けておくことをおすすめする。

 また、クマの目撃情報がある地域での夜間外出は、なるべく控えたほうがいいだろう。