■あいたくないけどクマの分類を詳しく知りたい

 「山であいたくない動物総選挙」のトップは何か? それはもちろんクマだろう。ここではクマ科の動物を分類してみたい。

●日本の山で遭遇するクマは、2種類に限定される

 プーさんやパディントンなど国際的なものから、リラックマやくまモンなどドメスティックなものまで、世界中には多数のクマのキャラクターが存在する。

 このようにかわいい、あいらしいアイコンの役割も果たしながら、実際のクマは間近で遭遇したくない動物として恐れられている。

 一般的に“クマ”と呼ばれるのはクマ科の動物だ。それは大まかに8種類しかおらず、以下に紹介しているように「クマ亜科」「メガネグマ亜科」「ジャイアントパンダ亜科」に分類され、さらにそれぞれの「属」に分けられる。

 また、分布するのはユーラシア、北米、南米、南極の各大陸に限られる。つまり、アフリカやオーストラリアにはクマがいないのだ。

 日本に棲んでいるのは2種類で、北海道限定の「ヒグマ」と、本州・四国にいる「ツキノワグマ」のみ。いずれも日本の国土が大陸と地続きであった太古の時代に上陸したものである。

 ただし、ヒグマには今の本州経由で北海道に渡ったグループもいたとされ、本州からもその化石が発見されている。

 ヒグマもツキノワグマも大陸から渡ってきたものだが、現代では他のクマ科動物が日本の山で新たに野生化するということはまず考えられない。

 あるとすれば、国内の動物園などで飼育されるクマが逃げ出した場合だが、そもそも個体数が少なく、もし逃げたら大騒ぎになることから、可能性は極めて低いのだ。

■クマ亜科

●クマ属

【ホッキョクグマ】かわいい見た目で過酷な環境を生きる

 いわゆる「シロクマ」。最大で体長250cmの個体も。見た目はかわいいためグッズ化されやすい。北米大陸北部、ユーラシア大陸北部、北極圏に分布し、流氷水域、海岸などに生息するため、山では100%遭遇しない。主にアザラシなどを食する。温暖化により絶滅の可能性が危惧されるが、日本では各地の動物園で飼育される。

 

【ツキノワグマ】三日月マークが特徴で本州・四国で見かける

 胸のところにある三日月のような形の白い斑紋が特徴だ。イラン、アフガニスタンから、韓国、台湾、日本までアジアの広域と、ロシアの東部などに分布する。日本では本州、四国に亜種「ニホンツキノワグマ」が生息。九州では絶滅。雑食であり、果実、芽、昆虫、魚、動物の死骸などを食べる。なお、三日月マークがない個体もいる。

 

【ヒグマ】日本に棲む陸上動物でもっともデカい

 大きいもので体長3m、体重500kgに達する場合も。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、日本には国内の陸上動物としては最大の「エゾヒグマ」が北海道のみに生息。7名の生命が犠牲になった「三毛別羆事件」など人間を襲ったケースもある。なお、「グリズリー」の呼称もある「ハイイログマ」はヒグマの亜種。

 

【アメリカグマ】北米固有でヒグマとは共演NG!?

 北米大陸に分布し、主に森林地帯に生息する。ヒグマがいない環境を選んで暮らしている。比較的植物の割合が高い雑食派。毛の色は黒である場合が多い。オスの体長は大きいもので2mに達する。山小屋やキャンプ場で食料を漁り、その際に人間を襲うこともある。逆に一部に食用とする文化もある。