「アリタセラ」と聞いてピンと来る方は、そう多くないかもしれない。しかし、「有田焼」と聞けばどうだろうか。「アリタセラ」とは「有田焼=アリタ セラミック」の専門店22店舗が一堂に会した、有田焼リゾートのこと。

 本記事では美しい磁器の魅力に触れながら、アリタセラの見どころを紹介。北九州旅行の観光地を探している方や、飲食店で食器の仕入れを検討している方はぜひ参考にしていただきたい。

■有田焼リゾート「アリタセラ」とは?

 アリタセラは長崎県との県境に近い立地、佐賀県西松浦郡有田町にあり、博多駅から有田駅まではJR特急みどりで1時間30分とアクセスもよい。

駅を出た瞬間から有田焼の里であることがひしひしと感じられる、有田焼の案内図(撮影:三浦かきつばた)

 有田駅からは車で5分ほど。駅からアリタセラまで有田町コミュニティバス(大人1回200円)が出ているが、徒歩でも25分ほどの距離にある。歩き始めると、高い煙突、通り沿いに点在する窯元、販売店が次々と目に飛び込んできて、焼き物の街ならではの光景にわくわくする。

 緩やかな坂を上った小高い丘の上にアリタセラが見えてきた。

アリタセラのメインストリートの両側には、22店舗もの有田焼専門店が立ち並ぶ(撮影:三浦かきつばた)

■有田でなぜ磁器が有名なのか?

有田駅前に鎮座する巨大な磁石。これこそが有田焼のアイデンティティ(撮影:三浦かきつばた)

 そもそもどうして有田で焼き物、特に磁器が有名なのだろうか。

 事の起こりは16世紀末、豊臣秀吉の朝鮮出兵に遡る。文化の交流がうまれ、朝鮮の陶工・李 参平(り さんぺい)が、釉(うわぐすり)をかけて高温で焼き締める大陸式磁器を日本に伝えた。この李参平が有田の泉山で良質な陶石(磁器の原材料となる石)を発見し、1616年、もともと国内では不可能と思われていた国産の磁器が初めて生産された。つまりは「有田で良質な原料が見つかった」のが事の発端なのだ。

 他にはない「原料の産出」というアイデンティティによって、有田は磁器の一大産地を形成したのだ。その土地ならではの原料が反映された器。焼き物の魅力はやはりここに尽きる。