■田園風景のひろがる御坊駅界隈
JR紀勢本線御坊駅の0番線が紀州鉄道の専用ホームだ。ただ、運行本数は1時間に1本しかない。次の列車が来るまで時間があることだし、2.7kmも歩けない距離ではないので、まずは終点の西御坊駅まで徒歩で行くことにした。
改札を出て御坊の駅前を見ると、地方都市のありきたりな風景という印象を受ける。人通りも少ない。
そのまま紀州鉄道の線路に沿って進むと、田園風景がひろがっていた。取材日は10月15日。稲刈りが終わっていて、代わりに緑の苗のようなものが植えられている。
二期作なのだろうか? というか、和歌山で二期作は可能なのか? 二期作でなく二毛作なら何を植えているのか?
そんな疑問を抱きながら用水路をのぞくと、珍しいものがたくさん見られる。
タニシである。佃煮にするとおいしい。なかには親分格の大きなものがいて、貫禄よくのっそりと動いていた。
■学門駅から紀伊御坊駅まで
御坊駅の次は学門駅で、その間1.5km。紀州鉄道の駅から駅の間隔では、もっとも長い。もともとは県立日高中学(現県立日高高等学校・附属中学校)の最寄り駅だったため中学前駅といったそうだが、1941年に廃止となり、1979年に学門駅として開業したらしい。
この辺りから住居や店舗などの建物が増え、田園風景はなくなっていく。そして、さらに進んで紀伊御坊駅に到着すると、2万人都市とは思えないほどの街並みが姿を見せるのだった。
つづく