■廃線ウォーク限定掛け紙の峠の釜めし

 2018年10月14日。ここ碓氷峠で旧信越本線の廃線跡を歩くイベントが始まった。「廃線ウォーク」である。横川~軽井沢間が廃止されてから実に20年もの時間が経過していた。上り線、下り線、歩く距離などによって、いくつかのコースが用意されており、ツアーの昼食には「峠の釜めし」が提供される。掛け紙は参加者限定バージョンで漫画『新・駅弁ひとり旅』とのコラボレーション。漫画家・はやせ淳先生のオリジナルイラストは、停車中のあさま号の前で主人公が駅弁を買う姿が描かれている。

廃線ウォーク https://haisen-walk.com/

オリジナル掛け紙 イラスト:はやせ淳 
熊ノ平を疾走する現役時代の特急「あさま」。左は2号トンネル

 益子焼の容器も朱塗りの特別バージョンだ。中身はもちろん何度食べても安定の美味しさ。荻野屋のホームページには「厳選した数種類の醤油をブレンドし、昆布の出汁とともに炊き上げたコシヒカリの茶めしの上に、鶏肉、牛蒡、椎茸、筍、鶉の卵、栗、杏子、グリンピース、紅生姜といった9種類の色とりどりの具材を載せています」とある。中でも生のゴボウを丁寧に一本一本職人の手でささがきし、金平風に仕上げたというゴボウは絶品。峠の釜めしのビジュアルポイントにもなっている杏子はデザート的な意味合いと整腸作用にも良いと言われている。

朱塗りの容器が美しい

 かつて横川駅では列車は峠越えのため補助機関車を連結する必要があり、その停車時間が「峠の釜めし」という傑作駅弁を生みだした。峠を越える鉄道はなくなってしまったが、現在は終着駅となった横川駅で販売され愛され続けている。荻野屋の駅売店には駅蕎麦もあり、駅弁好きで知られるアイドル、AKB48の岩立沙穂さんも以前に訪れ、YouTubeで食レポしている。ぜひ、こちらもお試しあれ。

 暑かった今年の夏もようやく終わり、標高の高い山間部から紅葉も始まっている。これからの季節、美味しい駅弁と美しい紅葉を味わいに碓氷峠を訪れてみるのもいいだろう。