今回の目的地、「綱敷天神社御旅社(つなしきてんじんじゃおたびしゃ)」は、ちょっとびっくりするようなところにある。
阪急梅田駅を出て、観光客や買い物客でごった返す「かっぱ横丁」沿いを歩き、ファッションビルなどが建ち並ぶオシャレエリアを歩いていたら、急に現れる石段と鳥居!
「な、なぜここに……」と言いたくなる立地だが、決して肩身が狭そうなわけではない。
堂々としていてカッコいい!
綱敷天神社御旅社、最初は現在の太融寺あたりにあった。遡ること昌泰4(901)年、菅原道真公が無実の罪で九州の大宰府へと左遷される際に、その地に咲いていた紅梅に目をとめ、乗っていた船の陸と船をつなぐ綱を円座状に敷き、その上に座って眺めたという。これが「綱敷」の名の由来だ。風流~!
現在の場所に移されたのは明治初期。その後、戦争による大きな被害は免れたものの、大阪駅周辺は大規模開発がなされ、境内はかつての4分の1に縮小。そして「なぜここに……」状態となったわけだが、今も地域の氏神様として、人々に愛されている。
ただ、急な石段は妙な迫力があり「何があるのか。のぼって大丈夫なのか?」と様子をうかがう観光客も多い。私が上ると、安心したように観光客が数組ついて来た。
思わず心で話しかける。大丈夫よ、オーケイお詣り!
横の洋服店からチャカツクチャカツクとご機嫌な音楽が聴こえてくるなか、お詣りする。この不思議な感覚、悪くない――。二礼二拍一礼をそのリズムに合わせたくなる。
おみくじは自動販売機タイプで、「硬貨が薄くなっていると反応しません」という注意書きが書かれていた。嫌な予感がする。私はこういう注意書き通りになるタイプなのだ。
予感は的中し、100円を入れてもウンともスンとも反応しない。
私の100円玉は薄かったようだ。しかし財布に100円玉はもうない。
意地になってレバーを押して返金し、もう一度同じ100円を入れる。おみくじは出ない。レバーを押し返金。入れる。おみくじ出ない。返金。入れる。出ない。ムキ―――ッ!!
ううむ、これ以上繰り返して、お詣りしている外国人観光客に「こけし顔の日本人がヘンなまじないをしている」とツイートされても困る!
私は社務所に行って事情を説明した。すると100円玉を新しい硬貨に交換してくださり、それを入れたらアッサリおみくじが出た。早くこうすればよかった……。