■幻想的な5連レンガアーチ橋「第13橋梁」と「県境越え」
下り線9号トンネルの軽井沢側に残る5連のレンガアーチ橋は第13橋梁。趣のあるレンガ積みの遺構は、旧熊ノ平駅から先の、廃線ウォークでしか立ち入ることのできないエリアのハイライトだ。この日は朝から小雨が降ったりやんだりしていたが、標高が上がるにつれ霧がだんだん濃くなってくる。かつてはこの下を国道が走り、蒸気機関車が走り抜けていたことを想像すると、現実感が薄れていくような感覚に陥る。
大雨の被害による崩落箇所などを避け、上下線を切り替えつつ進む。最長の上り線9号トンネルに差し掛かると音声レシーバーを通じて軽井沢到着を知らせる、当時の車内アナウンスが再生される。ここまで来れば残りもあとわずか。もっとも軽井沢寄りの上り線11号トンネル内にある手書き風の県境ラインを越え、ついに長野県入りを果たし、ゴールを迎える。
■イベント「廃線ウォーク」は、1年に70回程度のペースで開催中
以上、廃線ウォーク「下り」ルートの様子をお伝えした。主催の安中市観光機構によれば、開催当初は月1回の開催で100名ほどの参加者ではじまった本イベントは、現在では年に70回開催、1回あたりの参加者平均は約30名ということだ。2023年5月には最大90名が参加した回もあったが、そういう場合はガイドを増やして開催するとのこと。貴重な歴史的遺構がそのまま残されているということで、課外学習として中学や高校などから問い合わせが入るなど、関心の幅も広がっているようだ。
コースそのものにはそれほど危険な箇所はないので、上りと下り、新緑や紅葉の時期など、それぞれの興味に合わせて検討したい。鉄道と山と人のストーリーが凝縮した、碓氷峠の魅力を実感できるはずだ。
●「廃線ウォーク」公式HP(一般社団法人安中市観光機構)◇https://haisen-walk.com/
■MAP「碓氷峠」