筆者は、キャンプ場を決めるとき、どちらかと言うとレジャー感が強くない施設を選ぶ傾向がある。予約サイトでは、ランキング上位ではない穴場的キャンプ場をあえて見つけ、意外な出会いを楽しんでいる。

 そんな筆者が今夏、インターネットで行き先を物色した際、これまで意識していなかったジャンルのキャンプ場のサイトに行き当たった。

 スキー場の夏季営業キャンプ場……?

 触れ込みを読んでみると「広大なゲレンデを活かして、広々したフリーサイトのどこにでもテントが張れる」云々のことが書いてある。キャンパー同士が離れているので、隣近所を気にすることもない、と。

 なるほど……。

 さらに記事を漁ってみると近年のキャンプブームを受けて、夏季に休眠中のスキー場をキャンプ営業に活用するところが結構あるのだとか。

 考えてみると、スキー場はレジャー施設の王道と言って良いと思うが、キャンプ場としては穴場と言えるのではないか? さらにキャンプスポット後発組なりの素朴な営業努力に出会えそうな、そんな予感がする。

 よし! 行ってみよう。

 選び出したのは「戸狩温泉 星降るキャンプ場」。

 母体となるのは戸狩温泉スキー場。場所は長野県飯山市で、東京からちと遠いが、その分、都会から隔絶した静かな環境に出会えそうである。

■ゲレンデを登って、登って、開放的なサイトに到着!

戸狩温泉スキー場、夏のゲレンデを見上げる(撮影:伊大知崇之)

 そんなわけで筆者が、長野県北部、ほぼ新潟との県境エリアにたどり着いたのは、猛暑厳しい8月11日の山の日。豊田飯山ICで上信越道を降りると、この地でも“カッ!”と照りつける日差しからの逃げ場はなかった。エアコンなしで寝られるだろうか……。一抹の不安がよぎる。

 いやいや何を怖気付く、山々に囲まれて、自然の風に身をおきにきたのではないか。車を流すうち、そんな懸念もいつしか消える。千曲川の堤防沿い、空に向かって広がる一面の田んぼ……。ここまで足を延ばすと、首都圏近郊の田園風景とはスケール感が違う。

 景色は、やがてスキーエリアの様相に。“戸狩温泉スキー場”の看板を頼りに車を進めると、懐かしい昭和の面影残るスキー宿が立ち並ぶ通りへ。その先に目指す地はあった。

 はるか小高い山に登りゆく一面緑のゲレンデ!

 が、キャンプ場はまだ見えない。案内板は、ゲレンデをうねって登る一本道を指している。その道を登る。棚田を越え、尾根を横切り、まだか、まだかと思い、カーブを曲がったところで……、目の前が開けた!

 “星降るキャンプ場”の文字!

開放的なサイト全景(撮影:伊大知崇之)

 山をひとしきり登ったところに横たわる広い空間一面がゲレンデ=キャンプ場になっていた。周囲を囲む小高い山々。気持ちよく広がるキレイな芝生。思い思いにテントを張るキャンパーたち。開放感は予想通り!  そして、管理棟がキレイだ! さすがスキー場である。

キレイな管理棟には安心感がある(撮影:伊大知崇之)