■アズレージョの文化が影響?

缶詰メーカーの玄関ホール。床や壁に貼られたアズレージョが美しい

 魚介類が豊富に獲れるポルトガルでは、オイルサーディンの他にも干しダラのパテやイカ、ツナなどの缶詰が製造されている。それらに共通するのはパッケージデザインの愛らしさだ。

 なぜ、ポルトガルの缶詰は愛らしいデザインのものが多いのか?  遠路遥々、ポルトガルまで取材に行ってわかったのは、同国の伝統的な装飾タイル「アズレージョ」の文化が影響しているんじゃないかということ。アズレージョの柄には様々あるけど、もっとも古くからあるのは、草花などの自然をモチーフにした柄だ。取材で伺った「NURI」という缶詰メーカーも、玄関ホールの床と壁がアズレージョで装飾されていた。

 そんな伝統的な柄をアレンジしたデザインの缶詰が、今ではポルトガルの人気土産になっている。首都リスボンにある缶詰専門店は、常に外国人観光客で賑わっていましたぞ。

■丁寧な手作業に驚く

NURI工場にて。丁寧に手作業で行う作業工程が多い

 ちなみに、NURIの工場では印象的なシーンが見られた。小規模メーカーということもあるけど、製造工程のほとんどが手作業だったのだ。

 上左の画像は、できあがった缶詰をウェス(布)で拭っているところ。日本のメーカーのほとんどは熱水のシャワーで一気に洗うことを考えると、驚くほど手間を掛けているわけだ。そうしてきれいになった缶詰を、今度は紙のパッケージで1缶ずつ包装していく(画像上右)。どちらも手間と時間が掛かるはずなのに、それを楽しんでいるようにも思える。

 ポルトガルの缶詰は紙巻きのパッケージが多いが、どのメーカーもこうして手作業で包装されているのだろう。