今年も夏山シーズンに突入し、全国各地の山で多くの登山者の姿が見られるようになってきた。そんな暑い夏山や、長距離の縦走に便利なのがハイドレーションだ。

 ハイドレーションとはソフトボトルに給水のための長いチューブが付属し、歩きながらでも水を飲むことができる便利なアイテム。

 登山では「喉が渇く前に水を飲め」と言われるほど、こまめな水分補給が大事になる。歩くのに夢中になっていると次第に気分が悪くなり、脱水症状の一歩手前ではじめて気づくこともあるので、注意が必要だ。

 特にバックパックの中に飲み物を入れていると、水分を摂るタイミングが難しい。かといって、バックパックのサイドポケットや、取付可能なボトルホルダーにボトルを入れておくと補給しやすいが、立ち止まらないと飲みにくい。

■水分補給を躊躇して脱水症状に陥った例

 筆者の知人も夏の燕岳(つばくろだけ)でグループ登山をしていた際、同行者に遠慮して立ち止まって水を飲めずにいたら、急に目の前が真っ暗になり歩けなくなってしまったとのことだ。

 目前に迫っていた合戦小屋に立ち寄り、名物のスイカを食べてなんとか回復し事なきを得たが、水分補給の大切さを痛感した出来事だったと教えてくれた。

■ボトルとハイドレーションの使用感の違い

1.5L入れることが可能なハイドレーション(撮影:彩)

 筆者自身も以前はボトルを使用していたが、ハイドレーションに変更し水を飲む頻度は格段に増えた。また、ボトルだと水をがぶ飲みしてしまい、すぐにトイレに行きたくなっていたが、ハイドレーションを使用することで適切な量の水分を飲むことができるようになった。

長いチューブが邪魔にならないよう、チェストストラップに専用のホルダーが付いているザックも多い(撮影:彩)

 そんな便利なハイドレーションだが、メリット・デメリットを紹介したい。