マッターホルンを挟んでイタリア側のチェルヴィニアとスイスのツェルマットの境に位置するアルプスの山小屋「テオデュール」。この小屋の周囲には万年雪を湛えた氷河があり、イタリア国内で唯一、真夏でもスキーが楽しめる場所として知られている。イタリアのチェルヴィニアの村からはロープウェイが出ていて、日帰りのトレッキングでもこの雪景色が体験できる。標高3,300mを超えるので本格的な装備は必須だが、登山ルートはそれほど難しくなく、時間をかけてゆっくり登ればビギナーでもアクセスできる。今回は、スイス・イタリア国境にあるマッターホルンの山小屋テオデュールへのルートをご紹介しよう。
■トレッキングの拠点まではロープウェイで
マッターホルン(イタリア語でチェルヴィーノ)周辺でトレッキングを楽しむには、麓の村チェルヴィニアか、近隣のヴァルトゥルナンシュを拠点にするのがベスト。車があれば話は別だが、車なしでチェルヴィーノを満喫したいなら、この2ヵ所は外せない。ペンニーネ・アルプスの4大山脈の一つ、モンテ・ローザ周辺の高地を横断するトレイル「TMR」(ツール・モンテ・ローザの略)を歩くと、マッターホルンの巨大な山頂を眺めながら爽快なトレッキングが楽しめる。イタリアのアルプス歩きにハマって、いろいろなルートを歩くうちだんだんと欲が出てきて、「少しでも高い山に登ってみたい」と思うようになった私は、チェルヴィニアから日帰りでアクセスできる標高3,317mの山小屋でランチを食べる! という無謀な計画を実行することにした。
チェルヴィニアの村からモンテ・ローザ、チェルヴィーノ山脈を横断するペンニーネ・アルプスの高地登山道へは、ロープウェイでもアクセスできるので便利だ。もちろん、体力に自信のある方には村から徒歩で登れるルートも用意されているのだが、真夏の太陽が照りつける中(しかもルートはほとんど日陰がない)標高差1,300mを往復する自信がなかった私は、一番近くの拠点まで一気にロープウェイで登って、そこから歩き始めることにした。