■夜通しの弾丸登山
山頂からご来光を目の当たりにすることを目的として、富士山に登る人もいるだろう。その場合、絶対に避けて欲しいのが弾丸登山だ。これは前日の夜に5合目を出発し、夜通しで登山を続けて、翌早朝に山頂に到着する登山である。
途中睡眠をとらず登山をするため、睡眠不足は避けられない。疲労も蓄積しやすいため、転倒や滑落などの事故も起きやすくなる。また、短い時間で気圧が違う環境に身を置くことになるので、先述した高山病を発症する確率も高まってしまう。
このような危険性が高いため、富士吉田市や富士宮市などの自治体や山小屋といった多くの関係機関も弾丸登山はやめるように呼びかけている。ご来光を見るための登山では、必ず山小屋などに宿泊する計画を立てよう。
■家に帰るまでが富士登山
富士登山を計画したのであれば、せっかくだから山頂まで登り切りたいという思いがとても強くなる。またとない機会であるため、無理をしてでも登りたいと考えるのもうなずけるが、登山では無理をするのは間違いだ。
今回紹介したケースはもちろん、その他にも安全に登れなくなるような状況は存在する。そのような状況に直面して登頂は困難だと感じたなら、下山を決断しよう。自分の身の安全以上に大事なものは存在しない。富士山では無理をすると命を落とす可能性もあることを充分に理解し、安全に家に帰ることを最優先とした行動を心がけよう。