■コロナ禍で様変わり「登れない富士山」

雲海を眺めながらの下山

 新型コロナウイルスに登山の世界も大きな影響を受けた2020年でしたが、なかでも状況が大きく様変わりした山の筆頭が「富士山」ではないでしょうか。

 なにしろ、例年20万人を超える登山者を迎えていた人気の山に、1年間まったく登ることができなくなってしまったのですから。

 「今年はチャレンジしようと思っていたんだけど……」「毎年登っていたのに今年は……」といった無念を昨年感じていた方も少なくないでしょう。

 富士山に登れなくなったということは、取りも直さず「富士山で登山者を迎えていた人達の仕事が失われた」ということでもあります。

 富士山の5合目から上には45もの山小屋が点在し、主要な登山口にはたくさんの土産物店や休憩所が軒を連ねています。登山口までは各種交通機関が登山者や観光客を運んでくれます。そして、登山者の安全に気を配りながら豊富な知識とホスピタリティで楽しませてくれる登山ガイドの存在を忘れることはできません。

 2020年、富士登山の全面禁止が決定したことで、富士登山ガイドは登山者を日本一の頂へと導く機会を失いました。

 新型コロナウイルスの影響を受けた様々な業種の人々と同様、ガイドの方々も大きな制約の中で模索しながら、試行錯誤の中でオンラインガイドツアーや「練習登山」として低山ツアーを開催してきたといいます。現在でも富士登山に対する思いと情熱は尽きることなく、登山再開の日を迎えられるように準備を続けています。

■「ゼロ距離」視点の写真集でガイド・山小屋のサポートを

金剛杖に焼き印を押す山小屋の番頭さん

 そしてこのたび、富士山八合目の山小屋「太子舘」のガイド組織である太子舘ガイド会がスタートさせたのが、「ゼロ距離の富士山写真集」を制作しようというプロジェクト。

 富士山を生業の場とする彼らならではの視点で現在の富士登山のあり方を捉え、後世に残る富士山の記念碑的写真集をつくり、同時に写真集の売り上げを山小屋とガイド組織に還元することで、新たなサポート方法を作り上げることを目的として、クラウドファンディングを立ち上げました。

 今年の富士登山シーズンに山小屋スタッフやガイドが独自の視点で撮影をおこない、写真集の完成は2022年4月を目指しています。

(富士登山の状況次第で変更の可能性あり)

■登山ガイドならではの多彩なリターン!

山小屋からの御来光

 クラウドファンディングでの、プロジェクト支援のコースとリターンにも工夫がこらされています。登山と同じように、最初は「一合目コース」(支援額1,000円)から。「山頂御来光コース」(同10,000円)のリターンには、完成した写真集のほか、オンライン富士登山ツアーやオンライントークショー招待など盛りだくさんの内容が含まれています。

 さらに、このプロジェクトならではのリターンとして、富士山五合目の日帰り登山や1泊2日富士登山などのプライベートガイドツアーをセットにしたコースも! これを機会にガイド登山の楽しさを味わい、登山の知識を得るのもいいですね。

■富士山の新しい姿を見たら、きっとまた訪れたくなる

山頂剣ヶ峰

 世の中に富士山をテーマにした写真集は数あれど、この写真集の撮影者は常に富士山に寄り添って生活している人達。「ゼロ距離」の視点から切り取る光景は、私たちがなかなか見ることのできない特別な大自然の瞬間なのか、日本一高い場所で暮らす日常のひとコマなのか。

 きっとこの新しい写真集が、富士登山の歴史の転換点を記録したものになることでしょう。


READYFOR「富士登山の歴史を継ぐ 、『ゼロ距離の富士山写真集』制作への挑戦」
https://readyfor.jp/projects/zerokyori-mtfujiphotobook
※クラウドファンディング終了予定:4月16日 午後11時