日本一の高さを誇る富士山は姿が美しく、パワースポットとしても人気が高い。日ごろ登山をしない人でも、「富士山だけは登ってみたい」という声をよく聞く。
富士山には多くの登山客が訪れるが、「みんなが登っている」とはいえ、決して楽に登れる山ではない。技術的にはさほど難しくないが、登り7時間、下り4時間(吉田ルート)と歩行時間が長いうえに、高山病にかからないように気をつけて登らなくてはいけないというのが、他の山と違うところだ。
「今年こそは」と思っているなら、早めに計画を立てて準備を進めよう。
■ツアーのメリットとデメリット
初めての富士登山は不安なことが多い。筆者もそうであった。
筆者はこれまでに3度富士山に登頂したが、初めての富士登山はツアーだった。登る前の不安が解消されて、ツアーにして正解だったと思っている。初めての富士山登山には、ガイド付きのツアーをおすすめしたい。ツアーで登るメリットとデメリットを列挙してみる。
●メリット
・登山口までの移動が楽。
・ガイドがついているのでわからないことは質問ができる。
・ガイドがついているので安心感がある。
・高所に順応できるように最初のうちはゆっくり歩いてくれるので高山病にかかりにくい。
・歩き方や呼吸の仕方をアドバイスしてもらえる。
●デメリット
・集団行動が要求されるので、自分のペースで歩けない。
・標準的な体力の人に合わせて行程が組まれているので、多少は配慮してくれるが、遅い人のペースに合わせてくれない。
・集団についていけない場合や高山病などで体調不良になった場合は、途中の山小屋に泊まり、翌日そこから下山するので、時間的に頂上に登ることができない。
筆者は2回ツアーで登ったのだが、登頂できなかった(リタイアした)参加者をたくさん見てきた。高山病にかかった人、高齢でみんなの歩く速さについていけなくなった人、最初は元気に先頭を歩いていたけれど高山病にかかって弱っていった小学生などがリタイアしていた。
ツアーでは「ご来光に間に合わせなければならない」という時間的な縛りがあるので、遅い人に合わせていられないという事情がある。標準的な体力がない人がツアーで登るなら「ゆっくりコース」や「高齢者対象」などといったツアーを選ぼう。
■一般向けのツアーとは
富士山に登りたいという人の多くは、「頂上でのご来光」が最大の目的だろう。
そのために、一般的なツアーでは、1日目のお昼ごろに5合目を出発し、7合目~8合目の山小屋まで登り、夕食後山小屋で仮眠をとる。深夜12時~2時頃に山小屋を出発し、真っ暗な中をヘッドランプをつけて頂上目指して登る。日の出前に頂上に着き、ご来光を拝んだ後、山小屋で提供される朝食をとってから下山する。
コースによっては、ご来光の後、「お鉢巡り」といって頂上火口を一周する。90分ほどでひと巡りできる。
山小屋1泊ツアーのメリット・デメリットと、どのような人に向いているかを列挙してみる。
●メリット
・頂上でご来光を拝める。
●デメリット
・仮眠といっても、ほぼ寝られない。
・真っ暗な中を、ヘッドランプをつけての夜間登山は大変。
・ご来光を目指して多くの登山者が登るので、大渋滞が発生する。日の出の時間までに間に合わないこともある。
・夜明け前の寒さの中で夜明けをじっと待たなければならない。
●向いている人
・標準的な体力がある人。
・お鉢巡りをするのなら、さらに体力がある人。