日本にいるからには一度は登りたい山、「富士山」。ここ数年のコロナ禍の間は山小屋での密が気になったり、外出もままならない環境で、富士登山を先送りしてきた人も多かったと思う。
この春からはマスク着用などの制限もなくなり、富士山登頂にチャレンジしたい人は例年にも増して多いだろう。しかし、富士山を甘くみてはいけない。しっかりと準備をすればたいていの人が登ることができる山ではあるが、準備不足のままでは途中で引き返すことになりかねない。
今回は富士山登頂前の「練習登山」にフォーカスして、関東圏からのアクセスが良い2座を紹介したい。ただ単に近場で登りやすいだけではなく、いずれもロープウェイで一定の高さまで登れるため、標高2,000mの空気と眺望を味わうことが出来、次のステップに進むモチベーションにも繋がるだろう。
■富士山登頂の魅力とは?
富士登山の魅力、いや最大の目的は「日本一高い場所に立つこと」、これに尽きるのではないだろうか。
筆者はこれまで3回富士山に登っているが、登山中の景色の変化を特別楽しめるわけでもなく、森の香りや鳥のさえずりを楽しめるわけでもない。頂上からご来光を見ようと思えば、夜中の3時に山小屋を出て、大勢の登山者のヘッドライトの行列に入り、どんよりとした頭痛と戦いながらひたすら苦行のように山頂を目指さなくてはならない。
なぜそこまでして登るのか。それは「自らの力で日本で一番高い場所に辿り着き、ここでしか見られない光景を見たいから」だと思う。そして登頂が実現し、雲海越しにご来光を眺めることができれば、これは確かにこのうえない達成感を感じることができる。つまり富士山登頂は単なる山登りではなく、強烈な成功体験による自己肯定感の獲得なのである。