■サウナ室は教会と同じく神聖な場所
「サウナキュラ」で火入れを担当している女性サイア・シレンさんから貴重なお話を聞くことができました。フィンランドでは昔、出産や亡くなった方の最後のお清めなどがサウナ室行われていたこともあり、サウナ室は生と死が同居するとても神聖な場所であったそう。サウナ室での振る舞いは重要な意味があるとのことで詳しく教えてくれました。
サウナでロウリュをすると、私たちの体全体を優しくハグするように蒸気が舞い降りてきます。それはご先祖様が蒸気を通してあなたに挨拶をしにきている、蒸気を通して抱きしめているのだと話してくれました。スモークサウナでのロウリュは、前述の通り作法が決まっています。
柄杓の1か所をサウナストーンに置いて安定させ、そこを支点にゆっくりと傾けて水の量を一定に保ちながらロウリュをするのですが、ご先祖様と繋がる神聖な場所だからこそ、こういった所作があるのかも知れないと考えました。そして、サウナ室では教会にいる時と同じように振る舞い、隣人に礼儀正しく接し、清潔に保つ必要があると話してくれました。
また、スモークサウナは石を再度熱することはしないため、時間とともに徐々に温度が下がっていきます。熱さがよりマイルドになったサウナでする穏やかなロウリュを「デザートロウリュ」と呼び、夜までその余韻を楽しみます。この変化をまるで人の人生と同じ、と例えていたのも印象的でした。
サイア・シレンさんからとてつもない深いサウナ愛を感じました。フィンランドの人とサウナとの昔から続いている精神的な結びつきに敬意を払っていて、だからこそ、この文化を守りたいと願いボランティアをしているのだと思います。
いま日本でもサウナの大きなブームが起きていますが、その存在は日常生活の中でのリフレッシュ、もしくは特別なエンタメ体験というのが多くの目的だと思います。体を温めてリフレッシュさせてくれるサウナに、このような背景があることを知れてとても勉強になりました。
今回フィンランドのサウナを体験したことで、サウナの多様性を知れたと同時にエンターテイメント性の高い日本のサウナの良さも改めて知るきっかけになりました。
なお、筆者が参加したツアーはこちらです。今後もフィンツアーではサウナ関連のツアーを企画していくそうなので、ご興味ある方はHPからチェックしてみてはどうでしょう。