サウナにほぼ毎日入るようになって約3年、ついに念願かなってフィンランドへ行ってきました。筆者が参加したのはフィンツアーが企画したサウナビルダーのためのツアーで、毎日宿を変え1週間で合計30のサウナに入ってきました(ほんとにサウナしか入っていないため、可愛いカフェなどにも行っていません)。参加者は全員サウナ大好きな方で本当に楽しいツアーだったのですが、その中で特に印象に残った、フィンランド人とサウナとの深いつながりを感じた経験をレポートしたいと思います。

■フィンランドのサウナの特徴

 フィンランドのサウナは、平均70~80℃と比較的低温です。サウナ室では頻繁にサウナストーンに水をかけ(この行為をロウリュと呼ぶ)、降りそそぐ蒸気を常に楽しむスタイルが基本になります。日本でよく見かけるTVやBGM、アロマ水、アウフグース等は皆無です。暖かい空気は上部に留まるため、サウナストーブと比べて座面の位置が高く、足元まで温まる設計が多いのも特徴です。

宿泊したコテージにあった専用サウナ。ストーンより座面の方が高い位置にある

 大袈裟に感じるかも知れませんが、サウナ室ではロウリュを通じて、石、火、水、木など大地の恵みやエネルギーを全身で享受します。サウナ後に外に出れば太陽、風、緑、鳥の声をより身近に感じて感謝する、そういった行為がナチュラルにされていると感じました。

 また、サウナ室の中では皆さんリラックスしながらおしゃべりするのが当たり前なので、黙浴! みたいな注意書き等はもちろんありません。そのためなのか分かりませんが、基本的にどこのサウナも息苦しさを全く感じさせない設計になっています。新鮮な酸素を取り込むための工夫がされていて、吸気と排気の優れたシステムにとても感心しました。

拘りが詰まったサウナ。ストーブのすぐ上の配管が外と繋がる吸気口。また蒸気を効率よく送るための板が天井に設置されている

■キングオブサウナと言われる伝統的な「スモークサウナ」

 ツアー中に何度か「スモークサウナ」に入る機会がありました。キングオブサウナとも言われるスモークサウナとは、フィンランドにおけるサウナの原点であり、時間と手間が必要な贅沢な仕様のサウナです。スモークサウナは、薪ストーブと同じように薪を焚いてサウナ室とストーンを数時間かけて暖めるのですが、煙突がないため煙と熱が室内に充満します。石の表面温度が300℃以上になるまで薪をくべ続け、温度が上がったら薪を全てストーブから取り出し、サウナ室の煙と灰をロウリュによって小さな窓とドアから排出し完成となります。

 この工程には数時間を要します。完成後はストーンを再び温めることはなく、余熱のみで夜まで楽しみます。もちろんスモークサウナでも、常時ストーンに水を垂らしロウリュを楽しむスタイルに変わりはありません。

暗くて写真に収めるのが難しいスモークサウナ