山水を沸かして淹れるコーヒーは本当にうまい。しかし山が変わると、同じコーヒー豆でも何だか味が違う気がする。今回はそんな疑問を解決すべく、「水が変わるとコーヒーの味は変わるのか」という実験を行う。
■専門店がこっそり教えてくれたコーヒーに合う湧水の条件
今回の実験には、「ヤスナガコーヒ」というコーヒー専門店が協力してくれた。ヤスナガコーヒとは、東大阪にある創業60年の老舗コーヒー専門店。創業当時より変わらないキャッチコピーは「売(得)るコーヒーを造らず、飲(望)むコーヒーを創る」。そんなヤスナガコーヒの創業者、安永数雄マスターがこだわるのは、新鮮煎りたてのコーヒー豆だ。「冷めたときに雑味がなく甘さを感じるのが新鮮な豆の証」で、「新鮮な豆で淹れたコーヒーは、ブラックで飲んでも甘い」という。
安永マスターにコーヒーのお話を伺うと、膨大な知識と経験に基づくコーヒー談義が止まらない。ヤスナガコーヒのホームページにもその一部が掲載されているので、興味がある方はのぞいてみるとよいだろう。
ヤスナガコーヒ株式会社
・〒577-0061 大阪府東大阪市森河内西1丁目13-24
・電話:06-6783-2550
・営業時間:8:00~19:00
・定休日:毎月第2日曜日(変更なる可能性有り)、1/1、1/2、5/3~5、8/14~16
【URL】http://www.amai-cafe.net/
【ショッピングページ】https://ysngcf.myshopify.com/
【MAP】
さて、安永マスターに湧水によりコーヒーの味は変化するのか聞いてみた。すると確かに湧水によりコーヒーの味は変化するらしい。また、コーヒーがおいしく淹れられる湧水には条件があるらしく、今回特別に教えていただいた。
まず、コーヒーがおいしく淹れられる湧水第3位は、土から噴き出している湧水だ。
続いて、コーヒーがおいしく淹れられる湧水第2位は、石清水だ。石清水はミネラルやイオンを豊富に含む。そのためコーヒーを淹れると、かなりおいしいらしい。
そして、コーヒーがおいしく淹れられる湧水第1位は、分水嶺の岩から噴き出す湧水だ。通常の石清水と分水嶺の石清水は、いったい何が違うのか、気になるところである。しかし分水嶺の石清水で淹れるコーヒーが、なぜ一番おいしいのかという理由は不明だ。コーヒーの味に影響するミネラルやイオンをより多く含んでいるのかもしれない。あくまでプロの舌で経験的に実感されていることであろう。
なお、分水嶺とは水の分かれ道。すぐに思いついたのは、兵庫県丹波市にある日本海側と瀬戸内海側に水が分かれる分水嶺だ。しかし、そんな分水嶺など、そうそう近所にあるものではない。
すると「そんな分水嶺ではなくてもよい」と安永マスター。例えば山の尾根などで、雨水が異なる水系に分かれるような分水嶺でも構わないとのことだ。
なお、今回の企画に関して、ヤスナガコーヒ二代目の安永亜以さんはこう話す。
「私も実際に旅行するときには、いつもドリップバッグを持参します。つい先日も香港を訪れた際、ホテルに置いてある飲料水でコーヒーを淹れました。しかし、水か湿度のせいかわかりませんが、味が薄く感じました。だからきっと、コーヒーを淹れる水や環境で、コーヒーの味は変わるはずです。実験の結果を楽しみにしています」