■コーヒーがおいしく淹れられる湧水を求めて実験開始

 今回、実験で淹れるコーヒーは、二代目亜以さんプロデュースの新作「ドリップバッグコーヒー」。このコーヒーの特徴を亜以さんに聞いてみた。

 「このコーヒーは当社が販売しているレギュラーコーヒーより、ややさっぱりとした味わいが特徴です。浅煎りから深煎りのコーヒーが好きな方まで、どなたでも手軽に本格的なコーヒーを楽しんでいただける様に、豆の品質もさらに上等なものを使い、贅沢なドリップコーヒーに仕上げています」とのことだ。

 コーヒーの特徴がわかったところで、湧水による抽出実験を開始しよう。

●イソ(山偏に石)部(いそべ)の石清水

・住所:〒669-3464 兵庫県丹波市氷上町石生

【MAP】

イソ部の石清水がある兵庫県丹波市のイソ部神社(撮影:野口宣存)
イソ部の石清水(撮影:野口宣存)

 イソ部の石清水は兵庫県丹波市にあるイソ部神社にある分水嶺の湧水だ。石工の技術を持つ大和王権時代の部民(べみん、べのたみ)にゆかりのある場所らしい。

イソ部の石清水は学術的にも有名な「谷中中央分水界」(撮影:野口宣存)
ここで水が日本海側と瀬戸内海側に分かれる(撮影:野口宣存)

 ここは標高は120m程度だが、湧水が日本海側と瀬戸内海側に分かれる学術的にも有名な場所。コーヒーがおいしく淹れられる湧水第1位の条件に該当する湧水だ。

ヤスナガコーヒのドリップバッグコーヒーで実験開始(撮影:野口宣存)
イソ部の石清水で淹れたコーヒーは、かなりうまかった(撮影:野口宣存)

 さっそくコーヒーを淹れてみた。味は苦みや酸味は強くなく、まろやかな口当たりで、コーヒー本来の甘みやうま味、香りが際立っている。かなりおいしかった。

●狸穴の名水

・住所:〒669-4344 兵庫県丹波市市島町上鴨阪

【MAP】

狸穴の名水の弘法大師像(撮影:野口宣存)
弘法大師像の足元から湧き出る湧水(撮影:野口宣存)

 狸穴の名水は同じく兵庫県丹波市にある湧水。標高655mの五台山(ごだいさん)の登山口にある。標高210m程度の林道の終点に位置し、弘法大師の石像の足元から水が湧き出ており、土から湧き出ている湧水にあたるだろう。この湧水はタヌキが掘った穴から水が湧き出たとか、弘法大師の法力で湧いたとか諸説ある。コーヒーがおいしく淹れられる湧水第3位の条件に該当する。

コーヒーの香りが漂う(撮影:野口宣存)
狸穴の名水で淹れたコーヒーは、後を引く心地よい苦みと濃厚な味わい(撮影:野口宣存)

 コーヒーを淹れると、後を引く心地よい苦みと濃厚な味。コーヒー単独でもおいしいのだが、ケーキなどの洋菓子が合いそうな味だ。

●一休さんの銚子ヶ水

・住所:〒669-3827 兵庫県丹波市青垣町稲土

【MAP】

一休さんの銚子ヶ水(撮影:野口宣存)
一休さんの銚子ヶ水の看板(撮影:野口宣存)

 一休さんの銚子ヶ水も兵庫県丹波市にあるが、狸穴の名水とは異なる山のふもとにある石清水。その名の通り、かの有名な一休さんが見つけたとされる。コーヒーがおいしく淹れられる湧水第2位の条件に該当する。

ゴボゴボと噴き出す一休さんの銚子ヶ水(撮影:野口宣存)
一休さんの銚子ヶ水の前には山と畑が広がる(撮影:野口宣存)

 湧水の標高は190m程度。この一休さんの銚子ヶ水は、間欠泉のようにゴボゴボ音を立て、水が噴き出したり止まったりを繰り返している湧水。ホースは暴れないように、板で先が抑えられている。

一休さんの銚子ヶ水で淹れたコーヒーは、口当たりが軽く、程よい苦みと強い香りと甘みを感じた(撮影:野口宣存)
安永流珈琲道では飲み終えたカップを手で温めて、最後のコーヒーアロマを楽しむ(撮影:野口宣存)

 コーヒーを淹れると口当たりが軽い。香りと甘みが強く、程よい苦みもある。湧水から見える山と畑の美しい景色を楽しみながら飲むコーヒーは最高だ。