■風の影響を受けやすい小高い場所は避けているか

 テント設営は強風の影響を受けやすいところを避けているだろうか。いうまでもなく、強い風や突風の影響を受けやすい場所は、テントやタープなどが飛ばされてしまう。テントに入りきれなかった荷物なども飛ばされる恐れがあり、自分たちだけが困るのでなく、周辺のキャンパーにけがをさせたり、迷惑をかけてしまう。

 そういった観点からも場所選びを考えたい。当然だが、崖の上や崖の下も危険エリアだ。落石や崩落の危険が予想される。

■木の下にテントを張っていないか

 山間部は天気が急変するため、平野部に比べると雨が降りやすい。また、雷も発生しやすくなる。雷は高いところに落ちる性質があり、木に落ちた雷が木の幹を伝って離れ、近くにいる人やモノを通って地面に逃げる現象(側撃雷)が起こりやすい。とくに一本だけ独立している木の真下は危険だ。

樹木の根が酸欠になり、呼吸できずに枯れてしまうのが根腐れの原因。木の周囲をコーンやバーで規制している場合は近づかないようにしよう(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
枯れ枝は倒木の前兆。いきなり落下したり、折れることもあるので危険だ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

■川の増水、万が一の浸水に備えているか

 近くの河川や池、沼などとの距離は十分にとっているだろうか。雨が降って川の増水、万が一の浸水などに対して、避難の手順まで含めて考えておきたい。

 そのような事態に至らずとも低い位置にテントを張っていると、夜中の雨でやむを得ず眠い目をこすりながらテントを移動する羽目に陥ってしまう。

 あらかじめ暗くならないうちに河川などに足を運び、現場の様子から最悪の想定をしておくことが大切だ。

普段は美しい渓流も上流で雨が降れば様相は変わる。テント設営はそういう想定もしておかなければならない(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 キャンプ場で安全に過ごすチェックポイントを見てきたが、どの事態にも共通するのは「想定外のことも想定する」慎重さが不可欠ということだ。

 一例を挙げれば、クマなど野生動物の出没。山の中にあるキャンプ場はクマの生息地とクロスしている場合もあり、その意味で行動範囲となる。北海道ではキャンプ場の近くでの目撃も報告されている。

 キャンパーは彼らの生活圏に踏み込んでいる以上、注意は必要だ。キャンプ場という、人がいる場所自体はクマにとってはリスクが高いが、キャンパーが残した食べ物などに引き寄せられることも考えられる。

 キャンプ場周辺の最新情報を確認し、場合によってはクマ除け鈴やクマ除け線香などのクマ対策グッズを常備することが、想定外のことを想定する行動につながるのだ。