静岡県掛川市には、東海一の堅塁を誇った山城「高天神城(たかてんじんじょう)」の跡が残っている。

 高天神城は三方が崖に囲まれた標高132mの鶴翁山(かくおうさん)に建てられた山城で、「難攻不落の名城」として知られていた。「高天神を制するものは遠州を制する」とも言われたこの城は、徳川と武田の熾烈な戦いの舞台となった。

 鬱蒼とした木々に覆われた山の中に高天神城の城跡が残っており、「堀切(ほりきり」や「空堀(からぼり)」の跡が見られる。今回はNHK大河『どうする家康』にゆかりの深い高天神城跡で、戦国ロマンに溢れる城巡りハイキングの魅力について紹介する。

 掛川市は静岡県の中でもお茶の生産が盛んな地。城巡りハイキングのあとは、お茶カフェ「茶の庭」で新茶やお茶スイーツを味わって静岡の魅力を味わいつくそう。

■高天神城の城跡探索

 高天神城へは東名高速道路・掛川ICより約15分の場所にある、城の正面・追手門があった場所にある南口駐車場か、城の裏手・搦手門(からめてもん)があった北口駐車場からアクセスする。どちらの駐車場からでも約1時間ほどで城巡りが楽しめるが、休日は広い北口駐車場からアクセスするのが良さそうだ。

高天神城の追手門があった場所付近にある南口駐車場

 今回は城の正面、追手門側にある南口駐車場から高天神城を散策した。駐車場からは鳥居をくぐり、じめっとした空気の中、鬱蒼とした木々の間を歩いて高天神城の城跡へ向かう。

石段を歩いて城跡へ

 高天神城跡には勾配がやや急な階段やよく整備された道を歩いていく。戦国時代に侍たちが重い甲冑を着用し、槍や弓や刀などを持って侵攻した苦労を想像しながら、山城攻めの苦労を偲びながら歩いていくのも楽しそうだ。

かつてここが城攻めの重要な場所だった

 しばらく進むと追手門跡が見えてくる。城の正面にあたる門で、城を攻める際には重要な場所。現在は大きな杉の木が残るのみで、門は残っていない。