■エサやりをすることで起きること
「少しくらいエサやりしたっていいじゃないか」と考えている方もいるかもしれない。しかし、「野良猫に餌をあげてはいけない」ということには、きちんとした理由がある。
例えば、猫へあげたはずの餌が残った場合、目ざといカラスがすぐ集まるだろう。そうすると、狙われるのは餌だけではなく、生まれたばかりの子猫や弱った猫だ。
また、エサやりをすると、成猫や子猫に関係なく猫があつまる。これが繫殖期の場合、野良猫のオスによる子殺しの可能性も出てくる。この子殺しをするオス猫は、繁殖期に交尾が出来なかった猫だ。彼らは母猫の隙をみて、子猫を殺す。子を亡くした母猫は再び発情するので、オスはそれを狙って交尾をして自分の遺伝子を残す、という習性が猫にはあるとされている。
どの場合も、狙われるのは弱いものからなのだ。エサやりをすることで何が起こるかについて考えて、野良猫へのエサやりは避けるべきだ。
■猫へのエサやりは「絶対NG」なのか
無責任なエサやりは、キャンプ場・キャンパー・野良猫など、全体に悪影響を及ぼす。
キャンプ場のルールに反しない場合、そして、管理人の許可を得た場合などは、触ったり少量のエサやりが出来る場合もあるだろう。とはいっても、食べ物のあげすぎと残り物に注意し、猫にとって毒にならないもの(ネギ類、チョコ、ブドウ、甲殻類など)を選ぶなど、「猫の健康」「キャンプ場のルール」「環境」への気遣いが必須だ。
■キャンパーが野良猫にできること
地域猫や飼い猫はともかく、野良猫へのエサやりが絶対NGなら、キャンパーが野良猫にしてあげられることはなんなのか。
それは、「ただ見守る」ことだろう。「それだけ?」と拍子抜けするかもしれないが、野良猫には天敵が多い。キツネ、タヌキ、カラス、ヘビ、サルなど、常に多くの野生動物との縄張り争いや餌の取り合いを必要とする状況に置かれている。人の出入りがあるキャンプ場は野生動物を遠ざけ、一時安心できる場所でもある。
では、キャンパーはどうなのだろうか。
実際、食べ物を狙う野良猫を警戒しているキャンパーは多いだろう。キャンパーの安心の為にも、生ごみとキャンプ飯の徹底的な管理は必須だ。対策としては、キャンプ飯からは目を離さず、生ごみは匂いが洩れない蓋つきの箱に入れ、車での保管を心がけたい。
迷惑キャンパーにならないためにも、「エサやりは野良猫・キャンパー・キャンプ場のためにならない」ということを念頭に置いてみてはいかがだろうか。野良猫に餌をおねだりされた際には、ぜひこの記事を思い出してほしい。