●関東地方で初夏にみられる植物5.キランソウ

薬草として使われるキランソウ(撮影:鈴木将太)

キランソウ(Ajuga decumbens) シソ科 キランソウ属

 別名「地獄の釜(かま)の蓋(ふた)」、「医者殺し」と呼ばれている。その名の通り、昔から薬草として使われており、せきや熱など多くの症状に用いられその名がついた。

 その効果たるやすばらしく、「キランソウによって病気も治り、地獄に通じる釜に蓋をして死者を通さない」という意味で、「ジゴクノカマノフタ」という別名がついた。

●関東地方で初夏にみられる植物6.オオバジャノヒゲ

龍のヒゲのような葉が特徴のオオバジャノヒゲ(撮影:鈴木将太)

オオバジャノヒゲ(Ophiopogon planiscapus Nakai) キジカクシ科 ジャノヒゲ属

 花期は6月~7月(写真は6月撮影)。本来は林内に生える植物だが、園芸種も多く、それらが逸出し街中でも見られる。細長い葉を龍や蛇のヒゲに見立てたことから「ジャ(蛇)ノヒゲ」となったと言われている。

 冬になると青い玉のような果実をつけることから、「タマリュウ」という名の園芸品種もある。

●関東地方で初夏にみられる植物7.ワルナスビ

トゲが特徴的なワルナスビ(撮影:鈴木将太)

ワルナスビ(Solanum carolinense) ナス科 ナス属

 花期は6月~10月(撮影は6月)白~薄紫色の花に、真っ黄色のおしべがとても目立つ植物。

 北アメリカ原産の侵入植物で、茎の至る所にトゲがあることから「ワル」ナスビとなった。とても生命力が強く、アスファルトの裂け目など、どこにでも生えている。

●関東地方で初夏にみられる植物8.アカバナユウゲショウ

小ぶりだが、はっきりとした色の花が特徴的なアカバナユウゲショウ(撮影:鈴木将太)

アカバナユウゲショウ(Oenothera rosea) アカバナ科 マツヨイグサ属

 花期は5月~9月(撮影は5月)。漢字では「夕化粧」と書き、夕方に花が開くためとされているが、普通に昼間から花が開いている。

 小ぶりな花だが、濃いピンク色で案外目立つ。こちらもとても生命力が強く、どんなところにも生えている。

●関東地方で初夏にみられる植物9.イモカタバミ

根が芋みたいなイモカタバミ(撮影:鈴木将太) 

イモカタバミ(Oxalis articulata) カタバミ科 カタバミ属

 花期は4月~9月(撮影は5月)。主に少しじめっとしたところに生える、クローバーの仲間。クローバーとは「カタバミ」のことを指し、黄色い花だが、こちらのイモカタバミはピンク色の花をつける。

 もしこのイモカタバミを見つけたら、ぜひ引っこ抜いてみてほしい。根が塊になっていて、まさに「イモ」に見えるはず。

●関東地方で初夏にみられる植物10.ヒルザキツキミソウ

矛盾した名前がおもしろいヒルザキツキミソウ(撮影:鈴木将太)

ヒルザキツキミソウ(Oenothera speciosa) アカバナ科 マツヨイグサ属

 花期は5月~7月(撮影は5月)。漢字では「昼咲月見草」。月見草とは、夜に花を咲かせる植物のこと。ヒルザキツキミソウなどのマツヨイグサの仲間は夕方から夜にかけて咲くものが多く、誤って月見草と呼ばれるようになった。

 そのため、マツヨイグサの仲間である本種にも「ツキミソウ」の名がついたのだが、実際には昼に花が咲くため「ヒルザキツキミソウ」という矛盾した名前がついた。

 今回紹介した10種類の植物は、いずれも身近に見つけることのできるものばかり。

 街中にある植物の名前を言えるとすてきではないだろうか。名前のわかる植物が増えることで、普段の街歩きが楽しくなるはずだ。

 この記事が、少しでも皆さんの植物に魅力を感じるきっかけとなれば幸いである。

 

※この記事の情報は2023年6月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。