■神池寺から登る妙高山

 妙高山に登るには、まず神池寺に向かう。神池寺は、兵庫県丹波市市島町の県道541号を南下した終点。

妙高山神池寺駐車場のクリンソウ(撮影:野口宣存)
妙高山神池寺入山料:300円(撮影:野口宣存)

 たまたまなのだが、神池寺駐車場の向かいには、妙高山名物のクリンソウが咲いていた。クリンソウは絶滅が危惧されている希少な花。花に興味がない筆者も見とれてしまうほどに、クリンソウの花畑は美しい。このクリンソウを目的に妙高山へやってくる人も多いようだ。筆者が訪れた5月中旬はクリンソウのシーズン真っ只中で、6月上旬までが見頃とのこと。

5月に紅葉する妙高山神池寺(撮影:野口宣存)
妙高山登山口は神池寺本堂の裏(撮影:野口宣存)

 神池寺境内はさすが古刹だけあって趣があった。境内の標高が430~460mあるせいか、まだ5月だというのに多くのモミジが紅葉していたのが印象的。妙高山登山口は、神池寺本堂裏である。

■宗教遺跡の妙高山

妙高山登山道はこれでもかというほど目印がある(撮影:野口宣存)
妙高山神池寺にあった地図。昔は山全体がお寺団地だったようだ(撮影:野口宣存)

 霊山である妙高山は、どこに行くかわからない修験道の道が多くある。修行の人も迷子になるのか、そんな修験道の道にも目印テープがついていた。しかし、それでも山頂に向かう登山道との区別がつかなくなってしまう心配はない。なぜなら本線の登山道の目印は、これでもかというほどたくさん強調してつけてあるからだ。親切すぎるほど目印があるので、道に迷うことはないだろう。

妙高山登山道にある石垣を残す堂宇(撮影:野口宣存)
昔は神池寺に関わる人が往来していたのであろう妙高山登山道(撮影:野口宣存)

 そして登山道は、普通の登山道とは雰囲気がまったく異なる。山奥の廃村を歩いているような雰囲気なのだ。山全体に小さな寺院の団地があり、それらがまとまって神池寺だったのであろう。

 集落の建物がなくなり、石垣だけが残ったような感じで、建物の区画もわかるような状態。集落のメイン道路がそのまま登山道なのである。登山道から山頂までは、人に会うこともなかったのだが、常に人の気配を感じる不思議な感覚であった。

普通の木が灌木に見える妙高山登山道の巨木(撮影:野口宣存)
いかにも御神木っぽい妙高山登山道の巨木(撮影:野口宣存)

 また登山道沿いは、御神木レベルの巨木の森だ。神秘的な雰囲気が漂う。山頂は山城の跡のようになっていた。このあたりにも堂宇(どうう※)があったのだろう。

※本堂や講堂などの四方に張り出した屋根のある建物