この大工さんもまた、小屋閉め間近となった秋の終わりにひょっこりと顔を出してくれた。「定員14人らしいから、サラダ出したらええと思って」とレタス、きゅうり、ハム、トマトにドレッシングまで差し入れしてくれた。本当に粋なことをしてくれる。おかげさまで、この日の夕食はシャキシャキの生野菜がトッピングされた。
背負ってきてくれた食材が食卓に並ぶ時、その人の顔が浮かんでますます美味しく感じる。私たちも久しぶりのサラダをいただいて、るんるん気分になった。わたしはレタスの芯の部分まで余すところなくポリポリいただいた。
■山の上に新しい風を運んでくれる人々
人里離れた山の中で共同生活を送っていると、すごく小さなコミュニティの中で関係性が崩れないようにバランスを保つことに気を遣っているように感じる。でもわたしはそんなに器用じゃないから、裏表がない、というより、裏も表も全開になっている。
こんな私と生活をともに送っていくのは、スタッフとして働いてくれたともちゃんも高橋くんもさぞ苦労しただろう。お客さんが来るようになって、徐々に知っている顔が増えて、みんなが新しい風を運んでくれる。
やっぱり、わたしは山で人に会うのが好きだなあ。