⬛︎避難必須! 危険な「かなとこ雲」
新海誠監督の映画『天気の子』に登場した「かなとこ雲」、あの代表的なシーンに感銘を受けた方は多いのでは? 圏界面を天井にして、上面が平に広がっている姿はかなり特徴的だ。
かなとこ雲は、日本の夏の代名詞ともいえる入道雲(積乱雲)が発達してできたものだ。ただ、発生率が低く、1時間ほどの短期間で消滅する、希少性の高い雲でもある。インパクトが強いため、発見した際にはつい見とれてしまうことだろう。
しかし、分厚い積乱雲で覆われた地上は、急激に気温が下がり暗くなる。落雷、ゲリラ豪雨、突風など、かなとこ雲の真下は悪天候のオンパレードだ。
アウトドア中に近くで見かけた際には、つい立ち止まって写真を撮りたくなったりするだろうが、大変危険な雲のため、撮影や観察などは頑丈な建物に避難してからにしよう。
⬛︎見られるのは年に一度!? 珍しいけど危険な「大蛇(おろち)雲」
山の頂から中腹にかけて、横長に広がる雲。その様はまさに大蛇のように見えるため、「大蛇(おろち)雲」と呼ばれている。
地域によっては年に一度しか見られないほど、希少性の高いという大蛇雲だが、アウトドアが好きで、よく山に行く登山玄人の方だと、見かけたことがあるのではないだろうか。
大蛇のように山を覆う姿はまさに圧巻だが、山の上では風が吹き荒れ、霧に覆われるため大変危険だ。しかし、山麓から見上げると青空しか見えないため、山頂の危険性を知らぬまま登山すると、思わぬ気象遭難につながることも……。
トラブルを避けるためにも、目的の山に向かう道中では山に掛かっている雲に注目しておくのがポイントだ。
⬛︎雨が降る際の目安になる「うろこ雲」
秋らしさの象徴でもある「うろこ雲」。「ひつじ雲」「いわし雲」「さば雲」などの呼ばれ方もする。秋の季語にもなるほど、身近な雲のため、見かけることも多いのではないだろうか。一見身近な雲に見えるが、うろこ雲は雨が降るサインだ。
筆者は祖母との山登りの際「うろこ雲が出ると3日以内に雨になる」と教えてもらったのだが、このことわざをご存じの方は少なくはないだろう。
ただのことわざで当てにならないと思うかもしれないが、実はあながち嘘ではない。このことわざが当たる確率は7割ほど、と話す気象予報士がいるほどだ。気象庁による、全国を対象とした天気予報の平均的中率が83%のため、意外と高確率で当たるのがお分かりいただけるだろう。
ただ、発生後すぐに消えるうろこ雲の場合は天気が崩れることはない。しかし、空一面に広がった場合は天気が下り坂になるため注意が必要だ。
空高くに発生するうろこ雲だが、雲と雲の隙間が減り、空の低いところにも雲が覆ってきたら、そろそろ雨が降り出すサインになる。うろこ雲が出た際には高さに注目するのがポイントだ。