大分県佐伯市は県下7割の漁獲量を誇る漁業の町。そんな佐伯市街のほぼ中央に位置する「城山(しろやま)」は、佐伯市民の散歩コースであり、リアス式海岸が織りなす佐伯湾を一望する絶景スポットとしても人気を集めている。

 また、海岸沿いにある低山「濃霞山(のうかやま)」は、かつて軍港だった佐伯港を守る要塞として機能していたが、現在は大型船の造船所が眺められるスポットとして人気を集めている。

 城山と濃霞山、2つの山頂から眺める、佐伯市ならではといえる唯一無二の山と海の絶景コースをご紹介しよう。

■思いきり深呼吸したくなる「城山」        

 史跡「城山城址」は、1601年4月に日田より入った毛利高政が、この地を佐伯二万石の本拠地と定め、城下町の建設に取りかかったといわれる。今では城跡を示す石垣を残すのみであるが、城址公園として市民に親しまれている。

 城山は標高144m、登山道は全部で4つ。明治の小説家・詩人である国木田独歩(くにきだどっぽ)がよく歩いたという「独歩碑(どっぽひ)の道」が散歩コースとして親しまれている。至る所にベンチがあり、山道はゆったりと広い。

広く歩きやすい城山の山道(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 城山の登山道を歩く市民はほとんどが手ぶらで私服だ。通りすがりに挨拶を交わす余裕があったのは最初だけで、運動不足の筆者には少し堪えたが、20分ほどで頂上に到着した。

佐伯市街と佐伯湾が一望できる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 山頂はきれいな青い海と、連なった山々が広がる壮大な景色。淡い水色の空と濃い青色の海が、見事なグラデーションだ。少し疲れた体を癒す景色と心地よい風は、ふと深呼吸したくなる。

 城山の麓には小学校がある。子どもたちの明るい声や、懐かしい音楽に耳を傾けながら歩くのも楽しい。また、休日に子どもと連れ立って一緒に歩いたら、普段聞けない話が子どもから聞けそうなほど気持ちのいい散歩道なのだ。