今回訪れたのは、春真っ盛りの山口県美祢市(みねし)の「秋吉台(あきよしだい)」。

 秋吉台は石灰岩柱の草原が広がる、風光明媚な日本最大級のカルスト台地である。カルスト台地とは、石灰岩が雨水や地下水によって浸食されてできた地形のこと。学術的にも貴重な秋吉台は国定公園にも指定されており、今上天皇が皇太子時代の平成5年(1993年)に行啓(ぎょうけい)されたことのある人気観光地でもある。

 秋吉台の地下には、石灰岩が浸食されてできた鍾乳洞が広がっている。中でも最大の鍾乳洞である「秋芳洞(あきよしどう)」は、大正15年(1926年)に皇太子時代の昭和天皇が命名されたという。

 なお、そんな秋吉台には、まだあまり知られていない知る人ぞ知るスポットがある。それが秋吉台最高峰の山・龍護峰(りゅうごほう)だ。石灰岩柱の草原を歩いて登る草原の山で、普通の登山では味わえない風景が楽しめる。標高425.5mの龍護峰の頂から見渡す360度の眺望は、観光スポットとなっている展望台からの景色以上に美しく壮大で、迫力がある。

■龍護峰登山レポート

龍護峰登山道略図(画:野口宣存)

 龍護峰へは複数のルートがあるのだが、今回は『秋吉台家族旅行村』の登山口から向かった。

秋吉家族旅行村から望む御鉢山山頂(撮影:野口宣存)
龍護峰登山道途中のドコモ秋吉さくらの森(撮影:野口宣存)

 登山口からは石灰岩柱がある林の中をしばらく登る。すると山の斜面一帯に桜が植えてある「ドコモ秋吉さくらの森」に出る。訪れた3月下旬時点での開花はまだだったが、時期になれば桜が満開で美しい景色が広がるだろう。このドコモ秋吉さくらの森からさらに登ると林が切れ、石灰岩柱の草原の登山道に変わる。

龍護峰登山道の林の中にある石灰岩柱(撮影:野口宣存)
龍護峰登山道。林が切れ草原が現れる(撮影:野口宣存)