重たくても利点がたくさん【ダブルレイヤータイプ】

とくに寒い時期に有用なタイプ

 通常のギャザーエンドハンモックは一枚の生地で作られていますが、生地を二重に重ねたものが「ダブルレイヤータイプ」です。2枚の生地を使う分、重量は増えてしまいますが、ダブルレイヤーならではの利点がたくさんあります。

 薄くて軽量な生地を使ったハンモックは、荷重をかけたときに繊維間にわずかな隙間が生じ、蚊の口針のような細い針を通してしまいます。しかし、ダブルレイヤーハンモックは、生地を二重にして繊維構造を複雑化させることで、蚊の口針を通りにくくすることができるといわれています。生地の通気性を損ねることなく、背面が虫に刺されるリスクを軽減できるので、バグネットと組み合わせれば虫の多い時期や場所でも、快適に安心して過ごすことができます。

 このような理由から、シェルターハンモックの元祖であるブランド「ヘネシーハンモック」では、熱帯地域向けのモデルのほとんどがダブルレイヤーになっています。

寒い時期は背面のマットがズレないことが大切

 また、二重の生地の間にスリーピングマットなどの断熱材を挟むことができます。背面の冷え対策にはスリーピングマットが有効ですが、ハンモックの上に敷いたマットを安定させるのは難しく、寝ている間にズレてしまうことがよくあります。挟み込めば、常にスリーピングマットを一定の場所に保てます。ハンモックとスリーピングマットを組み合わせて使うなら、ダブルレイヤーは最良の方法かもしれません。

 さらに、ダブルレイヤーのハンモックは、強度も高くなります。同一の生地を二重にした場合には、1枚の状態より1.5倍以上の耐荷重が見込めるといわれています。また、仮にどちらか1枚の生地を傷つけてしまったとしても、もう1枚がバックアップとして働くため、体重のある方、もしくは道具に安心感を求めるハイカーにはダブルレイヤータイプが有効です。

■重量よりも寝心地を優先【ブリッジタイプ】

ハイキングよりもキャンプ向きな形状

 シンプルで軽量なギャザーエンドタイプがハイキング用の主流とはいえ、ほかのタイプのハンモックも一部のハイカーから支持されています。

 たとえば、吊り橋と同じ原理を利用して、ハンモックの座面全体がフラットに近い状態を作り出せるのが「ブリッジハンモック」です。ハンモックの両端に、アルミやカーボン樹脂製のバーが入っていて形状を保つのが特徴です。ギャザーエンドハンモックよりもフラット面が広く安定しているため、スリーピングマットを組み合わせて使うのにも適しています。構造が複雑で生地面積も大きく、補強のバーが2本必要なので、重量はギャザーエンドよりも重くなります。