●手順③ お茶を点てる
竹で作られた「茶せん」という道具を前後に素早く振ると同時に、ゆっくり左右に動かすことがうまく点てるコツだが、こだわる必要はない。
抹茶は泡立てなければいけないと思っている人も多いが、そんなことはない。泡を立てないことがよいとされる流派もある。
抹茶がダマにならないように混ぜることができれば十分。茶せんがなければ、小さめの泡立て器や、マドラー・ティースプーン・ミルクフォーマーなどで代用できる。
●手順④ お茶をいただく
上手に点てられた抹茶は、茶せんを振ることで程よく冷め、手元に届く頃に飲み頃の温度になる。お湯の温度が少し低い理由の一つだ。花や景色と抹茶の風味を楽しみながら、甘味をいただく。
いただく時の質問で多いのが「器はどれくらい回せばいいか」。
お茶は、手元に届く時、茶器を楽しむため器の「正面」が見えるように出される。飲む時は、正面に口をつけないように器の角度を変えるため、回すという仕組みだ。
細かい作法は流派ごとにあるが、他の人がお茶碗の柄を見る時、不快にならないように正面を汚さないマナーから生まれた動作。一人でお茶の味や風味だけを楽しみたい時は気にしなくてもよいのだ。
野点で重んじるべきは、作法ではなく周りの景色やその時の心情に目を向けること。わざわざ、作法を厳格に守る必要も、道具を揃えて手間をかける必要はない。筆者自身も、いつも簡略化したお茶を楽しんでいる。
■野点の道具
茶せんさえあれば、他に特別な道具はいらないのが野点のよいところ。茶せんも、100均やニトリで手軽なものが手に入る。もう少しこだわりたい方には、アウトドアメーカーが販売する野点セットがおすすめ。
Snow Peakが販売している「Snow Peak×中川政七商店×茶論「野点セット」シングル (3万5200円)」は、人気で販売後すぐに売り切れ、フリマアプリでも高値で取引される。
手に入りやすいのは、mont-bellが出す、野点セット(1万1880円)。ネットからも注文でき、季節を問わず手に入る。
他にも、竹でできた茶せんの扱いに困る方におすすめなのが、樹脂で作られた野点セットだ。モノづくりメーカーのSANYOUが発売する「アウトドア至福の茶せんセット(5500円)」は、道具が樹脂でできており、割れる危険が少なく手入れも簡単だ。
■野点で「余白」を楽しもう
お茶は、普段忘れてしまう「余白(気持ちや時間、空間のゆとり)」に目を向けさせてくれる。
室内ではなく野点をすることで、季節による草木や花の変化に触れたり、景色を鮮やかに感じる体験もできる。ぜひ、アウトドアの新たな楽しみとして取り入れてみては。