■初心者は、渓流釣りをどのように始めたらいいのか?

 筆者のような初心者は、渓流釣りをどのように始めたらいいのだろうか?

 「渓流釣り未経験の初心者が一人でいきなり渓流に行ってもなかなか釣れないケースがあります。ですからまずは一度、管理釣り場で魚が釣れる感覚を体験してみるのがおすすめです」と實森さん。

 管理釣り場とは自然河川を区切るなどして魚を放流し、釣りができるようにした施設のことだ。初心者でも手軽に釣りを楽しめるようになっている。

 奥多摩フィッシングセンターでも、奥多摩川本流の流れを利用した管理釣り場を運営しており、自然の川に近い感覚で釣りを楽しむことができる。一般エサ釣場が1日3600円、初級者エサ釣場が同3900円(貸竿込み)で利用できるほか、ルアー・フライ・テンカラ専用といった釣り方に特化した釣り場もある。

管理釣り場は足場もよく釣りしやすい(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 そして、管理釣り場体験後に奥多摩川で釣りをする際は、エサ釣りから始めるのがおすすめ。本流なら竿は5〜6.5mの中硬調、道糸はナイロン0.6〜1号、ハリスはナイロン0.4〜0.8号、各種ガン玉オモリと渓流針4〜8号を揃えたい。それ以外にもエサ箱、タモ網、びく(持ち帰る用)、フィッシングベスト、ウェーダー(胴長靴)などが望まれるが、必要に応じて揃えていきたい。

 また、釣れる時間帯に的を絞るなら、暗くなって危険性が高まる夕方より初心者は朝がおすすめ。そして「初心者の単独釣行はもちろんのこと、初心者だけ複数でも釣行しないこと。険しい場所、水深が深いところ、流れが急なところ、増水した川、危険なところへは行かないこと」と實森さんは、念を押す。

■2月中旬の管理釣り場には早くも家族連れが

 この日は、2月中旬と言えど思いがけない陽気に恵まれ、陽の光に誘われた人たちが、ちらほらと管理釣り場へ集まっていた。自慢の釣り具を並べて水面に糸を垂れる人、河原でニジマスの炭火焼きを食べる家族連れ、缶ビールで乾杯するグループ。思い思いに、渓谷の早い春を楽しんでいる。

炭火で焼き立ての川魚は美味しそうだ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 奥多摩本流の大自然まで都心から車で1時間半というアクセスのよさ。奥多摩川に毎年来ているという釣りファンの方々、そして、筆者のように釣りを始めたいと考えている初心者の方も、渓流の春に乗り遅れず、これからのハイシーズンに向けて幸先の良いスタートを切ってもらいたい。