■ニューヨーク・マンハッタンの現状と新興地ブルックリン

 コロナ禍を経て、脱コロナに向かいつつあるアメリカ。地下鉄では、マスクをしているのは10人に1~2人程度だ。

 ニューヨークはコロナとの共生の道を選び、人出も戻った。しかし、コロナ禍により店舗の売上が落ちた後、物件価格は上昇し、アウトドアショップもいくつか閉店したようだ。

 逆にマンハッタンの隣、かつて倉庫街であったブルックリンは、今ニューヨークで最も熱い新興地と言われている。数々のアウトドアショップが新規開店しており、サーフボード店など大きな場所を必要とする店もブルックリンではよく見られる。

酒屋では日本酒が売られており、現地で作られた日本酒から有名どころの真澄、大関までが揃う(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 またブルックリンでは、マンハッタンと同じく日本ブームの影響もあり、日本食店や出汁専門店も増えている。

 ブルックリンで作られた日本酒「BROOKLYN KURA」は、協会9号酵母を一部で使った、甘くフルーティーな味わいが特徴の日本酒だ。

 実際に飲んでみると、アメリカの水と米で作られたとは思えない、本格的な味わいだった。

■ニューヨークのキャンプ&アウトドアショップ事情

エンパイア・ステートビルからマンハッタンを望む(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 アメリカと言えば、ColemanやTHE NORTH FACE、LODGEといった、アウトドアになじみの深いメーカーが誕生した、キャンプ、アウトドアの本場と言える場所。

 とくに世界経済の中心、文化発信の地「ニューヨーク」と聞けば、アウトドアやキャンプ用品も最先端のものが揃っていると考える人は多いだろう。

 しかし、冬季の間ニューヨーク周辺のキャンプ場は閉鎖。現地の人に聞くと、キャンプに行く人は前より増えたが、コロナ禍で一番流行っていたのは、マウンテンバイクやハイキングだったそう。

 マンハッタンは東京の区程度の大きさで、平地かつ道路も格子状に整備されている。コロナ禍では密集を避けるため、マウンテンバイクで通勤する人も多く、その流れで流行ったのだろう。

 日本ではキャンプが盛り上がりを見せたが、ニューヨークではよりアクティブなアウトドアを楽しむ人が多いようだ。

■今注目のアウトドアショップが立ち並ぶ地域、ブルックリン

 かつて倉庫街だったブルックリンは、マンハッタンに比べ土地代が安い。おしゃれな雑貨店やスペースを取るアウトドアの店は、マンハッタンからブルックリンへと移りつつあるようだ。

寝具店や服が立ち並ぶ一角にSnow Peakがある(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 Snow Peakも、ブルックリンへと移ったアウトドア店の1つだ。

 日本ブームの中、マンハッタンのSOHO(東京の銀座のような場所)で営業していたSnow Peakは、2022年9月18日に閉店。10月からブルックリンでの営業を開始した。

 現地の人も、興味深そうにSnow Peak製品を手に取り、眺めていた。

真空マグが39.95$(約5100円)と、日本で買うより500円ほど割高だが、現地の人にとっては安い部類のようだ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 マンハッタン近郊は土地が狭く、団地のように所狭しと住居があり、アメリカと聞いてイメージするような「庭付き一戸建て」の家はほとんどない。

 そのせいか、Snow Peakの展示方法を見ると、キャンプというより日常でも使うことを想定しているようであった。

箱などはあえて日本語をそのままにして、日本のメーカーを強く打ち出している印象があった(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
日本と同じく、Snow Peakの服も売られていた(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 今ニューヨーカーの間では日本のシンプルな茶碗や、洗礼された文房具などが人気だ。Snow Peakの製品はまさに「日本らしさ」に溢れており、アメリカで日本のキャンプ用品がどれだけ通用するのか楽しみである。