■なぜ「3連休」以上なのか

山中で寝起きする「中日」があることが大切(撮影:加戸昭太郎)

 「3連休って週末に1日足しただけでしょ」

 なんて声が聞こえてきそうだが、その価値は1.5倍どころか、数倍以上になる。

 まず、ただの2連休だと、2日とも移動日となってしまうから旅先で心が休まらないし、遠くまで出かける気にもならない。ましてや、キャンプだとテント一式を広げたと思ったら、翌朝にはすべて畳まないといけない。週末にせっかくキャンプに来たのに、「移動→設営→撤収→移動」と、ひたすら時間に追われて終わる……という経験は誰もがあるはずだ。

 だが、3連休になった途端、ゆったり過ごせる「中日(なかび)」を手にすることができる。荘厳な夜明けから静謐な日没までを、旅先や自然の中で優雅に過ごす1日は至宝だ。その「中日」を仕事よりも優先する。これを信条に、ぼくは働いていた。

■「4連休」でさらに遠くへ

4連休がとれれば、より自然の奥深くへと入っていける(撮影:加戸昭太郎)

 当然、4連休も心から愛していた。

 3泊4日できれば、離島などのより自然豊かな場所や、韓国や台湾といった近隣国への旅も視野に入る。これらの場所には、3連休でも行けるかもしれない。だが、それなりの距離があるため交通費はそれなりに高くなるし、せっかく出かけたのに「現地をじっくり楽しめるのは1日だけ」というのはもったいなすぎる。

 たとえば国内の登山ルートでいうと、4日間になった途端、踏破できる縦走ルートが倍増する。さらなる自然の奥地へ入っていけるから、絶景のレベルは格段にアップする。

 ぼくは当時から、テントと釣り竿を背負って山に入るバックパッキング登山を偏愛していたが、山や谷で3泊できれば、当然、釣れる魚はより美しくなり、大型化していく。

 そして、大自然の中で過ごす自由な2日間が、どれほど豊かな時間かは説明不要だろう。つまり、4連休を獲得できれば、旅や野外遊びの感動の度合いが圧倒的に高くなるということだ。

■5年先まで休みの予定を入れてしまおう

こんな景色に人生で何度出会えるだろうか(撮影:加戸昭太郎)

 会社員時代は、「毎月3連休」と「季節(3ヵ月)ごとの4連休」、そして「毎年の9連休」をぼくはなによりも優先していた。1ヵ月以上先の仕事のアポは極力避けながら、3連休以上の休みは5年先までブッキングしていた。

 たとえば、ネットで「2023年 連休」と検索すると、2023年の3連休以上の連休がリストアップされる。そうやって、5年先までの連休を調べ、「自分とのアポ」としてすべてカレンダーに入れていたのだ。

 3連休が取れれば、関東甲信越の湖か川の畔にバン(自作キャンピングカー)を停めて、フライフィッシングに興じる。4連休では、バックパックを背に山に分入って大きな魚を追うか、北海道の道東に飛び、湖の畔にテントを張ってフィッシュキャンプをしていた。

 そして、9連休以上が確保できれば、迷わずニュージーランドに渡航。数えると、移住する前に15回も通っていた。

 当時、そんな自分のことを自嘲気味に「バカンス思考サラリーマン」と呼んでいたことを今でも思い出す。