■登山スタート。まずはシンボルツリーのある峠を目指す

新緑の季節には、登山ルートが鮮やかに彩られる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 イブネ・クラシが「鈴鹿の奥座敷」と呼ばれるだけあり、ここへ至るルートもまた、自然が色濃く残る山深い道だ。

鞍部には、立ち枯れた一本杉が登山者を迎えてくれる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 登山口からは約300mほど下った渓谷へと印を頼りに、何度か渡渉を繰り返しながら進んでいく。渓谷沿いは平坦な道が多いが、それでも約2時間歩くとなると一苦労だ。

 途中から現れる、登り返しの勾配を進んだ先に待っているのは、堂々とそびえ立つ、一本の杉の木だ。

 「杉峠」と呼ばれるこの場所を通る道は、かつて三重と滋賀を行き来するために利用されていた街道であり、かの織田信長が、この街道を通った際に襲撃されたことでも有名だ。その街道を歩いた先に見える一本杉、ここまで来れば目的地も近い。

■約4時間歩いても訪れてみたいのは何故か

長く歩いた後に待っている、ご褒美と呼べる場所だ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 杉峠から勾配を進むこと1時間ほどでイブネ・クラシに到着する。

 ここに来るまでに4時間近くを要することになるが、それでもこの場所に来る登山者は後を絶たない。山奥とは思えないような、コケに覆われた不思議な空間を一目見たいという願望が、距離や時間といった障害を乗り越える原動力になっているのではないだろうか。

 登山を始め、歩くことに慣れてきたなら、自身への挑戦としてぜひ一度訪れてみてほしい。きっと、今までにない達成感を味わうことができるだろう。

●イブネ

住所:〒527-0214  滋賀県東近江市甲津畑町

●クラシ