■スケスケシートの赤外線反射力検証実験

実験道具と測定場所(筆者の右太もも)。「アルミなし」シートは指で強くこすってほぼ完全にスケスケにした

 今回の実験では、「アルミあり」シートとスケスケ「アルミなし」シートの「赤外線反射力」を比較する。下記の手順で、身体の部位とシートの間の空気の温度を測定した。注意したポイントは、「密閉力による温度上昇」と「赤外線反射力による温度上昇」を切り分けること。そのため、シートで身体を包み密閉する方式では行わず、小さく切り取ったシートを筆者の太ももの上に載せるだけの、密閉させない方式で行った。

1. 筆者の太もも(着衣あり)の上に約1cmの緩衝材を置き、その上にデジタル温度計の検温部を載せ固定する
2. 検温部の上に、切り取った「アルミあり」のエマージェンシーシートを載せて固定する
3. 載せてから0分後・10分後・20分後の温度を測定する(上昇傾向が見られたら1時間を目安に継続する)
4.「アルミなし」のエマージェンシーシートに変更して、同様に測定する

 ちなみに実験に使用した製品はポリエステル素材のものだ。ずいぶん前に購入したもので、製品名やメーカーは忘れてしまった。この同一のシートから「アルミのある部分」と「アルミのない部分」を切り取った。切り取ったアルミのない部分をさらに指で強くこすり、ほぼ完全にアルミを剥がした。

■スケスケは反射力99%低減! 実験の結果と考察

筆者の足(太もも)で測定(左:測定開始前、中央:アルミあり測定時、右:アルミなし測定時)

 実験の結果は、大方予想通りとなった。「アルミあり」は10分後には温度が上昇していたが、「アルミなし」は時間が経過してもほとんど変化しなかった。このことから、スケスケエマージェンシーシートの赤外線反射力はほぼ低減してしまったと言える。今回の主旨とは関係ないが、人間が赤外線を放出していること、アルミがそれを反射することがわかり、少し感動した。

 今回は、故意にアルミを剥がしたものを使用したので、顕著な差が見られた。実際は、アルミが剥がれていたとしても、部分的な場合がほとんどだと思う。筆者のシートのアルミ剥離は全体の10%程度だった。エマージェンシーシートには密閉することの保温効果もある。アルミの剥離が一部分であれば、保温効果の低減はそれほど大きくないだろう。

 ただ、剥離が散見されれば、全体的に劣化が進んでいることが考えられ、その後すぐ連鎖的に剥がれていく可能性もある。実際、筆者のシートは指で触るだけでアルミが付着する状態だった。この状態になったら、すぐに買い替えた方が無難だ。